工事部長の村松です。
今回は、90代のお母様がご自宅で安全に生活できるように、居間・キッチン・寝室・洗面所の床を張り替えたリフォーム事例をご紹介します。
ご家族が特に心配されていたのは、床の滑りやすさと部屋の境目にある段差でした。
年齢を重ねると、以前は気にならなかったわずかな滑りや段差でも、転倒につながることがあります。
そこで今回は、滑りに配慮した床材への張り替えと、介護保険の住宅改修費を利用した段差の解消を行いました。
ただし、床の張り替えは高齢者のためだけのリフォームではありません。
床の傷や色あせが目立ってきた方、掃除のしやすい床に変えたい方、キッチンや洗面所の水濡れが気になる方にも参考になる事例です。
ご相談は「高齢のお母様が安全に歩ける床にしたい」
今回のお客様からは、次のようなご相談をいただきました。
- 高齢のお母様が歩くときに床で滑らないか心配
- 部屋の境目にある段差をなくしたい
- 居間だけでなく、生活動線全体の床を見直したい
- 汚れや水濡れにも対応しやすい床材にしたい
- 介護保険を利用できる工事は申請したい
転倒事故は、階段や玄関だけで起きるとは限りません。
居間からキッチンへ移動するとき、寝室から洗面所へ向かうときなど、毎日何度も通る場所に滑りや段差があると、生活の中で繰り返し危険にさらされることになります。
そのため今回は、一部だけを直すのではなく、お母様が普段移動する範囲を確認しながら工事内容を検討しました。
今回採用したのは滑りに配慮した床材
今回の床工事では、LIXILの「ラシッサSフロア耐水UDわん」を採用しました。
この床材は、防滑性に配慮した表面仕上げが施されており、床の滑りによる足腰への負担を軽減することを目的とした製品です。
耐水性や抗菌性も備えているため、居間や寝室だけでなく、キッチン・洗面所・トイレなどの水まわりにも使用できます。
この床材を選んだ理由
今回の住宅では、次の点を重視して床材を選びました。
1.滑りに配慮されている
表面に防滑性を持たせた仕上げが採用されており、一般的な床材よりも歩行時の滑りに配慮されています。
ただし、「滑りにくい床材」であっても、まったく滑らないわけではありません。
床に水や油が付着したままにしたり、靴下やスリッパの種類によっては滑ることがあります。床材だけに頼らず、日常的な清掃や履物の選び方も大切です。
2.水まわりにも使いやすい
キッチンや洗面所では、調理中の水や油、洗面時の水滴などが床に落ちることがあります。
耐水性のある床材を選ぶことで、水濡れによる傷みや変色のリスクを抑えやすくなります。
3.住まい全体の床をそろえやすい
居間・キッチン・寝室・洗面所で床の色や質感をそろえると、部屋同士のつながりが生まれ、室内がすっきりと見えます。
高齢者向けの機能を重視した床材であっても、病院や施設のような印象になるとは限りません。
木目調をはじめ複数のデザインがあるため、住宅の内装に合わせて選べます。
居間・キッチン・寝室・洗面所の床を張り替え
今回の工事では、お母様が日常的に使用する次の場所を施工しました。
- 居間
- キッチン
- 寝室
- 洗面所
- 各部屋をつなぐ移動部分
床リフォームには、既存の床の上から新しい床材を張る「重ね張り」と、既存床を撤去して新しく施工する「張り替え」があります。
重ね張りは、解体範囲を抑えられる場合がありますが、床の高さが上がるため、隣の部屋との間に新たな段差が生じることがあります。
今回は段差の解消も重要な目的だったため、既存床の高さや下地の状態を確認しながら、各部の高さを調整しました。
床の工事は、表面の床材だけを選べばよいわけではありません。
- 床下地が傷んでいないか
- 床鳴りや沈みがないか
- 部屋ごとの床高さがそろうか
- 建具が床に当たらないか
- 見切り材につまずく形にならないか
こうした点まで確認して施工方法を決める必要があります。


介護保険の住宅改修費を利用して段差を解消
今回の段差解消工事では、介護保険の住宅改修費を申請しました。
札幌市の介護保険では、要介護または要支援認定を受けている方が居住する住宅について、次のような工事が住宅改修費の対象になる場合があります。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止や移動を円滑にするための床材変更
- 開き戸から引き戸などへの扉の取り替え
- 和式便器から洋式便器などへの取り替え
- これらの工事に付帯して必要となる工事
利用限度額は、原則として対象者1人につき20万円です。
自己負担割合が1割の場合は最大18万円、2割の場合は最大16万円、3割の場合は最大14万円が介護保険から支給されます。限度額を超えた部分や対象外の工事は、自己負担となります。
工事を始める前の申請が必要です
介護保険の住宅改修費を利用する場合、基本的には工事前に申請しなければなりません。
先に工事を始めてしまうと、対象となる内容であっても支給を受けられない可能性があります。
工事を検討している段階で、担当のケアマネジャーや札幌市の区役所、施工会社へ相談してください。
また、床全体の張り替え費用がすべて対象になるとは限りません。
滑り防止や段差解消に必要と判断された範囲と、内装の美観を目的とした範囲を分けて扱う場合があります。申請前に、工事内容と対象範囲を確認することが大切です。


床を張り替えると、部屋の印象も大きく変わります
床は、壁や天井よりも直接触れる機会が多い内装材です。
毎日歩き、椅子や家具を置き、キッチンでは水や油が落ちることもあります。
そのため、古くなった床を張り替えると、安全性だけでなく、部屋全体の清潔感や明るさも大きく変わります。
今回の工事でも、床面の色や質感がそろったことで、居間からキッチン、寝室、洗面所まで統一感のある室内になりました。
段差も解消され、部屋から部屋へ移動するときの足元への不安を減らすことができました。
高齢者以外にも床の張り替えをおすすめしたいケース
床のリフォームを検討する理由は、介護やバリアフリーだけではありません。
次のような状態が見られる場合は、一度床を確認することをおすすめします。
床を歩くと沈む、ふわふわする
床材や下地が傷んでいる可能性があります。
表面だけを重ね張りしても改善しない場合があるため、床下地まで確認する必要があります。
床鳴りがする
床材と下地の間に隙間ができていたり、下地材や固定部分に問題が生じていたりすることがあります。
床鳴りの原因によって、補修方法は異なります。
傷や色あせが目立つ
日当たりのよい窓際や、椅子を動かすダイニング部分は、床の傷みが目立ちやすい場所です。
床を張り替えることで、室内全体を明るく清潔な印象に変えられます。
キッチンや洗面所の床が傷んでいる
水まわりでは、継ぎ目から水分が入り、床材や下地が傷んでいることがあります。
表面の変色だけに見えても、下地まで劣化している場合があるため注意が必要です。
ペットが床で滑っている
犬や猫にとって、滑りやすい床は足腰への負担になることがあります。
人だけでなく、ペットの歩きやすさを考えて床材を選ぶご家庭も増えています。
掃除しやすい床に変えたい
古い床では、継ぎ目や傷に汚れが入り込み、掃除をしてもきれいに見えにくいことがあります。
床材を選ぶ際は、見た目だけでなく、日常のお手入れ方法も確認しておくと安心です。
床の重ね張りと張り替えは、どちらがよいのでしょうか
既存床の状態が良く、床の高さが上がっても支障がなければ、重ね張りができる場合があります。
一方、次のような場合は、既存床を撤去する張り替えを検討します。
- 床が沈む
- 下地の傷みが疑われる
- 水漏れや結露の跡がある
- 部屋間の段差を調整したい
- 重ね張りすると建具が開かなくなる
- すでに床が重ね張りされている
- 床暖房などの設備がある
工事費だけを見ると重ね張りの方が安く見えることがありますが、住宅の状態に合わない方法を選ぶと、段差や建具の不具合が残る可能性があります。
北嶺建設では、現地で床の状態や高さを確認したうえで、重ね張りと張り替えのどちらが適しているかをご説明します。
よくある質問
高齢者でなくても、滑りに配慮した床材を選べますか?
はい。年齢に関係なく選べます。
小さなお子様がいるご家庭、ペットを飼っているご家庭、キッチンや洗面所の水濡れが気になるご家庭にも適しています。
床を張り替えれば、絶対に滑らなくなりますか?
滑りに配慮した床材でも、完全に滑らなくなるわけではありません。
水や油が付着した場合や、履物との組み合わせによっては滑ることがあります。濡れた場合は早めに拭き取り、滑りやすいスリッパなどにも注意してください。
家具を置いたままでも工事できますか?
施工する部屋の家具は、基本的に移動が必要です。
家具の量や大きさによって対応方法が変わるため、現地調査時に確認します。大型家具や介護ベッドなどがある場合も、事前にお知らせください。
床の一部だけを張り替えることはできますか?
床材の種類や傷み方によっては可能です。
ただし、既存床と同じ製品が廃番になっている場合や、部分的に色が変わって見える場合があります。部屋全体を施工した方が、きれいに仕上がることもあります。
介護保険を利用する場合、北嶺建設に相談できますか?
はい。工事内容や現地の状況を確認し、申請に必要となる見積書や工事前写真などの準備に対応します。
介護保険の対象になるかどうかの最終判断は札幌市が行いますので、担当のケアマネジャーや区役所とも相談しながら進めます。
床は見た目だけでなく、毎日の歩きやすさで選ぶ
床の張り替えというと、傷や汚れをきれいにする内装工事という印象があるかもしれません。
しかし、床は毎日の歩行を支える大切な部分です。
特に高齢の方が暮らす住宅では、滑りにくさ、段差、床の沈み、部屋から部屋への移動のしやすさまで含めて考える必要があります。
一方で、滑りに配慮した床材や耐水性のある床材は、高齢者だけのものではありません。
子育て中のご家庭、ペットと暮らすご家庭、古くなった床をきれいにしたい方、水まわりの床の傷みが気になる方にも選択肢となります。
北嶺建設では、札幌市内・近郊で、床の張り替え、段差の解消、手すりの設置などの住宅リフォームに対応しています。
「床が滑りやすくなった気がする」
「歩くと床が沈む」
「親がつまずかないように段差をなくしたい」
「居間とキッチンの床をまとめてきれいにしたい」
このような場合は、床材を決める前に、現在の床や下地の状態を確認することが大切です。
現地を確認したうえで、必要な工事と、まだ行わなくてもよい工事を分けてご説明します。
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村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。
保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。

