排水マス交換工事|繰り返すトイレ詰まりを根本から解消した札幌の施工事例

この記事でわかること

  • 繰り返すトイレ詰まりの本当の原因がどこにあるか
  • コンクリート製から塩ビ製への排水マス交換が必要な状態の見分け方
  • 外径660mm・深さ900mmクラスの大型マス交換工事の実際の流れ

トイレの詰まりが年に何度も繰り返す。そういうお宅から相談を受けると、私たちはまず屋外の排水マスを確認します。その場限りの詰まり抜きで終わっても、原因が地中に残ったままでは同じことが必ず起こるからです。今回は札幌市内の戸建て住宅で行った排水マス交換の工事を振り返りながら、なぜ根本からの対処が必要だったかをお伝えします。

排水マス交換工事前の状態。建物際に設置されたコンクリート製排水マスの蓋。外径約660mmの大型マスで、繰り返すトイレ詰まりの原因となっていた
排水マス交換工事前の状態。建物際に設置されたコンクリート製排水マスの蓋。外径約660mmの大型マスで、繰り返すトイレ詰まりの原因となっていた

現場の状況——繰り返す詰まりの背景

築年数が経ったお宅では、屋外の排水マスが静かに劣化しているケースが少なくありません。

排水マスとは、建物から出た汚水・雑排水が合流したり方向を変えたりする地中の小さなマンホールのことです。配管の途中に設けられ、詰まりの点検や清掃の起点にもなります。

今回のお宅でも、以前から高圧洗浄や詰まり抜きで対応してきた経緯がありました。ところが処置後しばらくすると、またトイレの流れが悪くなる。その繰り返しでした。蓋を開けてマス内部を覗いた段階で、問題の所在がほぼ見えてきました。

コンクリート製マスの蓋表面を拡大。経年劣化による破損箇所を指差し確認。蓋だけでなくマス内部のインバートも同様に劣化が進んでいた
コンクリート製マスの蓋表面を拡大。経年劣化による破損箇所を指差し確認。蓋だけでなくマス内部のインバートも同様に劣化が進んでいた

コンクリート製マスの底面——汚水を流す溝(インバートと呼びます)——の表面が長年の使用でざらざらに荒れていました。滑らかだったはずの面が粗くなると、汚物が引っかかる足場になり、少しずつ堆積していきます。加えて、塩ビ配管とコンクリートマスの継ぎ目に隙間が生じており、そこから土砂が入り込んでいる形跡もありました。

コンクリートは耐久性が高い素材ですが、内部が劣化した後に表面を滑らかに戻す補修は現実的ではありません。今回は「また詰まる」という状態を繰り返すより、マスそのものを交換する方が長い目でみて合理的と判断しました。

排水マス交換工事の流れ

掘削から埋め戻しまで、段取りと確認を重ねながら進めた工事の手順を順に説明します。

STEP
事前調査——マス内部と配管継ぎ目の確認

蓋を開けてマス内部を目視確認。インバート表面の荒れ具合、塩ビ配管とコンクリートマスの継ぎ目の状態、土砂の流入跡を確認し、詰まりが繰り返す原因を特定しました。この段階での確認が、その後の工法選択の根拠になります。

STEP
掘削——外径660mm・深さ900mmクラスの手掘り

建物際という条件もあり、重機を入れられない狭所での手掘り作業です。マス周囲の土を慎重に掘り下げながら、流入・流出配管の取り合いを傷つけないよう確認しつつ進めました。深さ900mm近い掘削は、それだけで相当の作業量になります。

STEP
既存コンクリートマスの撤去

老朽化したコンクリート製マスを割って解体・撤去しました。内部に溜まっていた土砂やガラも合わせて取り除き、新しいマスを据える空間を確保します。割ったコンクリートの状態を見ると、内部の劣化が想定以上に進んでいたことが改めて確認できました。

STEP
塩ビ製排水マスの設置と配管接続

底のインバートが滑らかに成形された塩ビ製マスを新設。排水勾配を確認しながら据え付け、流入・流出側の塩ビ配管を専用の接続部材できっちり接合しました。継ぎ目に隙間をつくらないことが、今後の土砂流入と漏水を防ぐ核心です。

STEP
埋め戻し・転圧と最終確認

沈下が起きないよう土を層ごとに締め固めながら埋め戻しました。最終的に蓋を設置して表面を整え、排水の流れと接続部の状態を確認して完了です。

掘削・撤去・新設マス設置後の全体状況。建物際に3基の塩ビ製マス蓋が並び、埋め戻し前の工事完了状態
掘削・撤去・新設マス設置後の全体状況。建物際に3基の塩ビ製マス蓋が並び、埋め戻し前の工事完了状態

掘削で見えた現場の実態

掘り進めると、配管の接続状態が想定通り良くない状態で出てきました。

掘削中に露出した配管の取り合い状況。コンクリートマスと塩ビ配管の継ぎ目に複数の隙間が確認でき、土砂流入の形跡も見られた
掘削中に露出した配管の取り合い状況。コンクリートマスと塩ビ配管の継ぎ目に複数の隙間が確認でき、土砂流入の形跡も見られた

地中を掘り下げていくと、コンクリートマスと塩ビ配管の取り合い部分が複数箇所で口を開けているのが確認できました。隙間から染み込んだ水が周囲の土を緩め、その土が配管内に流れ込むことで詰まりが繰り返されていた——そう考えると、これまでの経緯がつながります。

地面の上から見ていれば、マスの蓋は何事もなく収まっています。コンクリートの外観は年数が経っても大きく変わりません。だからこそ、内部がどんな状態になっているかは、開けて確認するまでわかりません。今回のような繰り返しの詰まりは、その典型的なパターンです。

撤去したコンクリート製排水マスの断面。経年劣化でひび割れが進み、内部に土砂が堆積していた状態が確認できる
コンクリート製排水マスの撤去後

撤去したコンクリートマスの断面を見ると、本体そのものが劣化でひび割れていました。コンクリートの破片と内部に溜まった土砂を取り除いた後、ようやく新しいマスを据える下地が整いました。

排水マス交換で何が変わるか——コンクリートと塩ビの比較

素材が変わることで、詰まりと漏れの起きにくさが根本から変わります。

比較項目コンクリート製マス(既存)塩ビ製マス(新設)
インバート表面経年でざらつき、汚物が引っかかりやすい成形時から滑らか、流れが良い
配管との継ぎ目隙間が生じやすく、土砂流入・漏水の原因になる専用部材で密着接続、隙間が出にくい
内部劣化後の対処補修が難しく、交換以外の選択肢が限られる劣化しにくく、万一の場合も補修しやすい
重量・施工性重量があり、撤去・搬出に手間がかかる軽量で据付・接続の精度を出しやすい

コンクリート製マスが悪い素材というわけではなく、施工当時は標準的な選択でした。ただ、20〜30年以上が経過したお宅では、内部の状態を一度確認する価値があります。詰まりが繰り返す場合は特に、マスの劣化を疑う判断材料になります。

なお、この方法でも改善しないケースがあります。建物内部の配管自体が傷んでいる場合や、マスより下流側の本管に問題がある場合は、マス交換だけでは解決しません。くり返す詰まりの診断は、症状と現場の状況を合わせて判断する必要があります。排水マスの詰まりを根本から断つ豊平区の施工事例も参考にしてみてください。

工事のポイントと判断の根拠

今回の工事で私が軸に置いたのは、「次も詰まるか、詰まらないか」という一点です。

高圧洗浄で汚物を押し流しても、インバートの表面がざらついたままであれば、また同じ場所に堆積が始まります。継ぎ目の隙間が残っていれば、土砂は引き続き流れ込みます。その状態で「きれいになりました」と言って終わりにすることは、私たちにはできません。

外径660mm・深さ900mmというサイズは、戸建て住宅の屋外マスとしてはかなり大型の部類です。周囲を手掘りで掘り下げ、重量のあるコンクリートマスを割って撤去し、新しいマスを据えて配管を接続し、転圧しながら埋め戻す——一連の作業は丸一日では終わらない工程量でした。それでも、「見えない地中こそ、一度直せば長く安心して使える場所」という考え方は変わりません。

段取りを丁寧に組んで進めることで、後から想定外のトラブルを引きずらずに済む——これが私たちの現場での基本的な進め方です。

お客様の声と、今後の参考として

工事完了後、お客様からひと言いただきました。

何回も詰まって困っていたので、助かりました。

札幌市内・戸建て住宅のお客様

繰り返す詰まりに悩んでいたお宅が、根本から改善されたと感じていただけたことが、この工事の一番の成果です。

築20年以上の戸建て住宅で、以前からトイレや排水の流れが悪いと感じている場合、一度屋外の排水マスを確認することをお勧めします。蓋を開けてみるだけでも、インバートの状態や配管継ぎ目の様子はある程度確認できます。自分では判断しにくい場合は、現地を見てから状況を説明することもできますので、気になる方はお声がけください。トイレが流れない場合の対処について詳しく見る

工事費用は、マスのサイズ・深さ・配管の取り合い状況・作業環境によって変わります。現地を確認した上でお見積りをお出ししますので、まずはご相談ください(現地調査・お見積りは無料です)。

よくある質問

トイレの詰まりが何度も繰り返す場合、排水マスが原因ということはありますか?

可能性としては十分あります。コンクリート製マスのインバート(底の溝)が劣化してざらつくと汚物が堆積しやすくなり、詰まりが繰り返す原因になります。屋外のマスを開けて内部を確認することで、ある程度状況を把握できます。

排水マス交換の工事はどのくらいの期間がかかりますか?

マスのサイズや深さ、作業環境によって異なります。今回のような外径660mm・深さ900mm近い大型マスの場合、掘削から埋め戻しまで複数日かかることもあります。事前に現地を確認した上で、工程と日程をお伝えしています。

コンクリート製マスを塩ビ製に交換する必要があるのはどんな状態のときですか?

インバート表面の著しい荒れ、配管との継ぎ目の隙間、本体のひび割れなどが確認できる場合、交換を検討する状態といえます。高圧洗浄を繰り返しても詰まりが再発する場合も、マスの劣化が背景にあることがあります。

排水マス交換の費用はどのくらいかかりますか?

マスのサイズ・深さ・配管の取り合い数・作業環境によって費用が大きく変わるため、現地確認後にお見積りをお出ししています。まずは現地調査をご依頼いただくと、正確な費用感をお伝えできます(現地調査は無料です)。

排水マスを塩ビ製に換えても、また詰まることはありますか?

塩ビ製マスはインバートが滑らかで汚物が堆積しにくく、配管との継ぎ目も専用部材で密着接続できるため、コンクリート製より詰まりにくくなります。ただし、建物内部の配管や下流の本管に別の問題がある場合は、マス交換だけでは解消しないこともあります。

この記事を書いた人

村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。



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