排水管の根詰まりとは、庭木や周辺樹木の根が配管の継ぎ目や隙間から侵入し、管内で成長して排水を塞いでしまう現象のことです。突然「全く流れない」状態になりますが、根はある日突然入り込んだわけではなく、何年もかけてじわじわ広がった結果です。今回は札幌市内の店舗で発生した根詰まりの緊急対応事例を、工程ごとにご紹介します。
・排水管の根詰まりがどのように発生するか
・管内に約8mの根が侵入した現場の工程と使用機材
・根詰まりの早期サインと点検のタイミング
・フレックスシャフトと高圧洗浄を使い分ける理由
「屋内が全く流れない」――緊急連絡から現地確認まで
連絡を受けた時点で、すでに「トイレも含めて屋内の排水が一切流れない」という状況でした。店舗です。営業中に排水が止まる、というのは相当なプレッシャーのある状態です。
現地に向かいながら、頭の中でいくつかの原因を想定しました。油脂の蓄積、ペーパー類の固着、あるいは管そのものの破損。ただ、「屋内が全部止まっている」という点が気になっていました。一か所の詰まりで屋内全体が止まるとなれば、建物の外、屋外マスの可能性が高い。

屋外の排水マスを開けた瞬間、見えました。根。大量の根です。マスの中に黒々とした繊維の塊が充満していて、正直、想定以上でした。

「これは洗浄ワイヤーだけでは難しい」。その場で判断しました。
管内に約8mの根――詰まりの実態を確認する
マス内の根の状態を確認しながら、排水管の中も点検しました。管内を確認すると、根は枝分かれしながら奥へ奥へと伸びている。およそ8m。管の中が根でほぼ埋まっている状態です。
ここで迷いました。高圧洗浄だけで対応するか、フレックスシャフトを使うか。
高圧洗浄は水の力で汚れや柔らかい異物を押し流す方法です。ただ、今回のように根が管壁に絡みついて固着している場合、水圧だけでは根を切断・除去できないことがあります。設備屋さんとも以前話していましたが、「根は切らないと取れない」というのが現場の感覚です。
判断は、フレックスシャフトで切削してから高圧洗浄で仕上げる、という順番にしました。
根詰まりは高圧洗浄だけでは改善しないケースがあります。管壁に絡みついた根は、切削・除去できる機材が必要です。「洗浄したけど再び詰まった」という場合、根が残っている可能性があります。
フレックスシャフトで根を切削・除去する工程
屋外の排水マスを開口し、内部の状態を目視確認。マス内に木の根が大量に侵入していることを確認しました。根の量・広がり方・管の向きを把握して、どの方向から攻めるかを判断します。段取りはここで決まります。
RIDGID FlexShaft K9-12は、ドリルのような回転力でシャフト先端のカッターヘッドを高速回転させ、管壁に絡みついた根を切断・粉砕する機材です。8mにわたって繁茂した根を、少しずつ手応えを感じながら除去していきます。久々の大物でした。
切削した根を管外に引き出します。地面に並べると、人の背丈をはるかに超える長さになりました。これだけの量が管内に詰まっていれば、屋内が「全く流れない」のも当然です。根の量を見れば、どれだけ長い時間をかけて侵入・成長したかがわかります。
フレックスシャフトで根を除去したあと、業務用高圧洗浄機でマス内・管内を洗浄します。切削した根の残片や泥汚れを高圧水で押し流し、管内をできる限りクリーンな状態に仕上げます。この仕上げ洗浄を省くと、残片が再詰まりの原因になることがあります。
屋内のトイレ・小便器・床排水のすべてで通水確認を実施。水がスムーズに流れることを確認して、工事完了です。店舗の方にも同席していただき、流れを確認してもらいました。

使用機材の選定理由――なぜフレックスシャフトか
RIDGID FlexShaft K9-12は、フレキシブルなシャフトにカッターヘッドを取り付け、ドリルで高速回転させることで管壁に固着した異物を切削する機材です。
通常の洗浄ワイヤーは「押し込んで詰まりを崩す」イメージ。高圧洗浄は「水圧で流す」イメージ。それに対してフレックスシャフトは「削り取る」イメージです。根のように管壁に絡みついて固着している異物には、この切削が有効です。

今回の現場のように、マス内と管内の両方に根が侵入しているケースは、フレックスシャフトで切削したうえで高圧洗浄で仕上げる、という2段階の対応が現実的だと思っています。どちらか片方だけで終わらせるのは、再詰まりのリスクが残ります。
派手なことは何もありません。ただ、適切な機材を使って、確実に除去して、通水確認まで済ませる。それだけです。
工事部長の視点――根詰まりは「突然」ではない
今回の作業時間は約4時間。一人対応でした。
現場を終えて思うのは、この根は何年もかけて育ったということです。配管の継ぎ目から細い根が一本入り、それが水分と栄養を吸って枝を増やし、8mの塊になる。「突然詰まった」という感覚がお客様にはあると思いますが、根はずっと前から管の中にいました。
「流れが悪い」「ゴボゴボ音がする」「水の引きが遅い」。これらは根詰まりの初期サインであることがあります。この段階で点検・対処できれば、今回のように屋内の排水が完全に止まる前に手を打てる可能性があります。
見えてるところだけが全部じゃない、と私は現場でいつも感じています。マスの蓋を開けてみて初めてわかる、というのはよくある話です。札幌市内の戸建てや店舗で、庭木や植栽が建物の近くにある場合は、数年に一度の排水マス点検を考えておいても損はないと思います。
段取り八部、と私はよく口にします。今回は緊急対応でしたが、それでも現地確認の時点で原因の見当をつけ、機材の選択を決めてから作業に入りました。その判断があったので、4時間で通水確認まで持ち込めたと思っています。


まとめ
今回の施工のポイントを整理します。
- 屋内が全く流れない原因が屋外マスへの根侵入だった
- 管内に約8mにわたって根が繁茂していた
- フレックスシャフト(RIDGID K9-12)で根を切削・除去し、高圧洗浄で仕上げた
- 「流れが遅い」「ゴボゴボ音がする」段階での早めの点検が、完全閉塞を防ぐ可能性がある
根詰まりは札幌市内の戸建て・店舗問わず発生します。「流れが悪いかも」という感覚が続くようであれば、早めにマスの点検だけでもしておくことをおすすめします。当社で対応した範囲では、根の除去を含む排水管洗浄の費用は現地確認後のお見積りになります(目安として、作業規模・根の量・アクセス条件によって変動します)。無理に工事をおすすめすることはありませんので、まずはご相談ください。
よくあるご質問
排水管への木の根の侵入は、どんな建物で起こりやすいですか?
「流れが遅い」「排水時にゴボゴボ音がする」「水の引きが遅い」などが初期サインとして多い印象です。屋内が全く流れなくなる前の段階で点検できると、対処の選択肢が広がります。
どんな症状が出たら木の根の侵入を疑うべきですか?(初期のサインは?)
「流れが遅い」「排水時にゴボゴボ音がする」「水の引きが遅い」などが初期サインとして多い印象です。屋内が全く流れなくなる前の段階で点検できると、対処の選択肢が広がります。
高圧洗浄だけで木の根は除去できますか?
管壁に固着した根は、高圧洗浄だけでは除去しきれないケースがあります。フレックスシャフトなど切削できる機材で根を除去してから、高圧洗浄で仕上げるのが現実的な対応です。
作業時間や費用はどのくらいかかりますか?
根の量・管の長さ・アクセス条件によって大きく変わります。今回のように管内に約8mの根が繁茂していた場合は一人対応で約4時間でした。費用は現地確認後のお見積りになります。
木の根の侵入を予防する方法はありますか?
完全な予防は難しいですが、数年に一度の排水マス点検で早期発見できる可能性があります。特に配管の近くに庭木がある場合は定期点検を検討するとよいと思います。
村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。
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