排水マス 入替で毎年の詰まりを根本から断つ工事を、札幌市豊平区の戸建て住宅で実施しました。原因は排水マスの老朽化ではなく、経年地盤沈下による逆勾配。この一点に尽きます。
「また詰まった」と高圧洗浄を繰り返すより、原因を断つ方が長期的にはコストもストレスも下がる。今回の現場はそれを改めて実感した工事になりました。
- 排水詰まりが毎年繰り返される本当の原因
- 排水マス入替工事の流れと施工のこだわり
- コンクリートマスと塩ビマスの違い
- 北海道特有の凍上が排水に与える影響
- 工事費用の目安と「やり続けるコスト」の話
現場の状況|毎年詰まる家には、必ず理由がある
ご依頼のきっかけは、娘様からのご相談でした。「母が一人で住んでいて、毎年排水が詰まるんです。その都度業者を呼んでいるんですが、また繰り返して…」という内容でした。
現場を確認すると、建物の側面から排水マスまでの通路は雑草が繁茂し、地表からではマスの状態がほとんどわからない状態でした。

通路沿いにびっしり育った草と、その下に埋まった古いコンクリートマス。一見するとただ古いだけに見えます。ただ、私はこういう現場でまず思うのは「詰まりの症状と原因は別のところにある」ということです。

管内カメラで調査すると、答えは出ました。
原因は勾配。それだけ。
最上流のトイレ系統マスとその下流マスが、地盤沈下によって逆勾配になっていました。排水が流れるべき方向に、地面が沈んでいる。だから毎年詰まる。高圧洗浄でその場は通っても、次の冬にまた詰まる。この繰り返しでした。
毎年の詰まり抜き作業で、数万円のコストが発生していたとのこと。何年分になるか、計算するまでもありません。
工事前の段取り|灯油タンクが邪魔するとき
事前調査の段階で一つ気になることがありました。排水マスのすぐそばに灯油タンクが据えられていて、このままでは掘削の邪魔になる。
ここで迷う。
灯油が入ったままでは動かせない。かといって、タンクをそのままにしたまま中途半端な掘削をすれば、マスの据付精度が下がる。段取り八分、と私はよく口にしますが、今回はこのタンクの扱いが段取りの肝でした。

ホームタンク洗浄・回収の専門業者さんに依頼して、先に灯油を一度抜いてもらいました。餅屋は餅屋ですから。灯油の取り扱いは専門業者さんに任せて、私たちは掘削に集中する。工事後にまた充填してもらう段取りで進めました。
写真3はその専門業者さんのホームタンク洗浄車。こういう連携が、現場をきれいに収めるための裏側です。
写真4は着工前に現場に搬入した資材一式。グレーの塩ビ管、継手、スコップ、土のう袋。派手なものは何もありません。ただ、この量を前日中に確認して、当日朝に揃っている状態にする。それが段取りの中身です。
施工の流れ|勾配を実測しながら据え付ける
既設コンクリートマスの位置と深さを確認しながら、カメラで管内を確認。逆勾配になっている区間と、紙やヘドロが滞留しやすい接続部を特定しました。「どこが詰まっているか」ではなく「なぜ詰まるか」を見極める工程です。ここで原因を間違えると、工事をしても再発します。
マスのすぐそばに据えられていた灯油タンクは、専門業者に依頼して灯油を抜き取り、一時的に移動。作業後に元の位置に戻し、充填してもらう段取りを組みました。狭い通路での掘削精度を確保するために必要な工程でした。こういう段取りが現場をスムーズに動かします。
手掘りで既設マス周辺を掘り進め、接続している塩ビ管・コンクリート管を確認しながら慎重に撤去。コンクリートマスは重く、狭い通路での作業のため、搬出ルートも事前に段取りしていました。掘ってから「運べない」では遅いので、搬出経路は着工前に現場で確認しています。
既設マスを撤去した後、掘削底面の地盤を砕石で補強し転圧。「マスを替えただけ」では、同じ地盤の上に据えても再び沈下するリスクがあります。今回の詰まりの根本は地盤沈下による逆勾配ですから、地盤を作り直すことが再発防止の核心です。北海道では凍上による地盤の動きも考慮し、埋戻し材と転圧の強度を現場ごとに判断しています。
レベルで勾配を実測しながら新規の塩ビ製マスを据付。排水管の勾配は2/100以上が基本とされています。設備屋さんと話していると「この数字は現場では思ったより取りにくい」とよく出てくる話です。今回もレベルを確認しながら微調整を繰り返し、接続管と接合。内面がフラットで滑らかな塩ビ製マスは、紙やヘドロが引っかかりにくい構造になっています。
据付後は実際に水を流して、流れと水位を目視確認。マスの中で水が滞留しないこと、逆流がないことを確認してから埋戻し。転圧をしっかり行い、表面を整えて完了。1日で完結しました。工事後の現場は、掘削前より通路がすっきりした印象になりました。
工事部長の視点|「マスを替えれば直る」は半分しか正しくない
排水詰まりの相談を受けるとき、お客様のほとんどは「マスが古いから」「管が詰まっているから」という認識でいらっしゃいます。それは間違いではないのですが、半分しか正しくない。

写真は掘削・雑草除去後の状態です。これだけでもだいぶ見やすくなりましたが、ここからが本番。マスの位置と深さを確認して、接続管の勾配を計測する。

新しいマスを据え付けた後の状態です。蓋が地面からわずかに出た位置に収まっています。このレベル調整が重要で、埋めすぎても出しすぎても、後の管理に影響します。
別アングルから。基礎の換気口のすぐそばにマスが来ています。この位置関係も現場確認で初めてわかることで、図面だけでは読み切れない部分です。
今回の工事で私が一番こだわったのは、砕石転圧による地盤の作り直しです。マスを新しくするだけでは、同じ地盤の上に据えることになる。経年で同じように沈下すれば、また逆勾配になる。それでは再発です。

マスを上から覗いた状態。内部がフラットな塩ビ製マスは、旧来のコンクリートマスに比べて継ぎ目や段差がなく、紙やヘドロが引っかかりにくい。これが既設コンクリートマスを塩ビ製に更新する理由の一つです。
正直、「どこまで工事するか」はケースによって迷います。マス2基だけでいいのか、もう少し上流まで見るべきか。今回は管内カメラで問題区間を特定できていたので、2基の入替と配管接続の見直しで判断しました。全周を掘り返すより、原因箇所を絞って対処する方が、お客様の負担も現場への影響も小さくなります。
北海道は凍結深度が60cm前後あり、地盤の凍上によってマスや配管が動くことがあります。埋戻し材の選定と転圧の強度は、単純に「深く埋めればいい」ではなく、現場の土質・地下水位・施工時期によって判断が変わります。画一的な対処では再発するケースもあるため、現地確認が前提になります。
費用の目安と「繰り返すコスト」の話
今回のような排水マス入替工事の費用はいくらか。これは現場によって変動するため一概には言えませんが、当社で対応した範囲では、マス単体の入替と配管接続で数万円〜の規模感です。家の周りを全部改修するとなると、30〜50万円(税別)程度になるケースもあります。
一方で、毎年の高圧洗浄・詰まり抜き作業のコストを積み上げると、数年で工事費用に近づくことがあります。「何年住むか」にもよりますが、原因を断つ工事の方が、長期的には合理的な選択になる場合が多い、というのが私の見方です。
ただ、これは一般論です。現地を見ないと何とも言えないのが正直なところ。まず現地確認から、というご相談でも遠慮なくどうぞ。無理に工事をおすすめすることはしていませんので、その点はご安心ください。
お客様の声|「心配事が一つ減りました」
今回ご依頼くださったのは、ご高齢のお母様が一人でお住まいの住宅の娘様でした。毎年の排水詰まりのたびに業者を呼ぶ手間と、離れて暮らしながら気になる母親の生活。そういう背景があって、今回のご依頼につながっていました。
お客様母のことで心配事が一つ減って、本当にほっとしています。これで安心して冬を迎えられます。
工事後にこのようなお言葉をいただきました。排水が流れるようになった、それだけの話ではない。離れて暮らす家族の不安が減る。それが工事の本当の結果だと思っています。
現場目線で言うと、排水の詰まりは突然起きるものではなく、長い時間をかけて積み重なって表に出るものです。症状が出るずっと前から、地盤は少しずつ動いていた。見えていた部分は「また詰まった」という事実だけで、見えていなかった部分に原因があった。今回はその構造を、工事で断ち切ることができました。
札幌市内・豊平区・清田区周辺で、排水詰まりが繰り返されている住宅のオーナー様は、一度現地確認だけでもご検討ください。
まとめ
- 毎年繰り返す排水詰まりの原因は、地盤沈下による逆勾配だった
- 高圧洗浄で症状を抑えても、原因が残る限り再発する
- 排水マス入替では、地盤の作り直し(砕石転圧)と勾配の実測が核心
- コンクリートマスから塩ビ製マスへの更新で、紙・ヘドロの滞留を抑制
- 北海道の凍上リスクを踏まえた埋戻し材・転圧の判断が必要
- 工事費用は現場により変動。家周り全体で30〜50万円(税別)が目安
よくあるご質問
排水マスの入れ替えが必要かどうか、自分で判断できますか?
外から見ただけでは判断が難しいケースがほとんどです。詰まりが年に複数回繰り返される場合は、管内カメラでの調査をお勧めしています。勾配不良や破損は地中の状態を確認しないとわかりません。
排水マスの入替工事は何日かかりますか?
マス2基程度の入替であれば、事前段取りが整っていれば1日で完了するケースが多いです。ただし、現場の状況や接続管の状態によって変わります。事前に現地を確認してからお伝えしています。
高圧洗浄ではなく排水マスの入替えが必要な状況とは?
高圧洗浄で一時的に解消しても、半年〜1年以内に再発するケースは、管の勾配不良やマスの損傷が原因のことが多いです。詰まりが繰り返される場合は、原因の調査から始めることをお勧めしています。
コンクリートマスと塩ビマスは何が違うのですか?
コンクリートマスは内面に継ぎ目や凹凸があり、紙やヘドロが引っかかりやすい傾向があります。塩ビ製マスは内面がフラットで滑らか。経年劣化による割れや浸水リスクも低く、現在の主流になっています。
北海道では排水マスが特に傷みやすいと聞きましたが本当ですか?
凍結深度が60cm前後ある北海道では、地盤の凍上によってマスや配管が毎年少しずつ動きます。これが逆勾配の原因になることがあり、本州と比べて地盤の動きへの対処が必要になるケースが多いと感じています。
村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。
📩 まずはお気軽にお問い合わせください


📞 電話:011-889-2833
📧 メール:info@re-hokurei.com
お問い合わせはこちらから
📷LINEやメールからの写真送信OK!












