― 業者を呼ぶ前に知っておきたい使える場面・使えない場面 ―
排水の流れが悪くなると、まず市販のパイプ洗浄剤を探す方も多いと思います。その中でも名前を聞くことが多いのが「ピーピースルー」です。
インターネットでは強力な薬剤として紹介されていますが、現場で感じるのは「使いどころを間違えなければ選択肢になる」という位置づけです。
この記事では、排水管洗浄を年間通して行っている札幌の建設会社の目線で、ピーピースルーKとFの違い、向いている場面・向かない場面、使う前に知っておいてほしい注意点をまとめます。
■結論:KとFの違いを一覧表で
先に結論からお伝えします。
| ピーピースルーF | ピーピースルーK | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 家庭用 | 業務用 |
| 分類 | 通常の家庭用洗浄剤 | 医薬用外劇物 |
| 入手方法 | ホームセンター・ネットで購入可 | 劇物のため販売店での書面手続きが必要 |
| 強さ | 中程度 | 非常に強力 |
| 向いている汚れ | 油脂・石けんカス・ヌメリ | 業務レベルの頑固な油脂汚れ |
| 一般家庭での使用 | ○ 選択肢になる | △ 慎重な判断が必要 |
名前が似ているため同じものと思われがちですが、強さも用途も入手のハードルも大きく異なります。一般のご家庭で検討するなら、基本的にはFタイプです。



●ピーピースルーF(一般向け)
- 家庭用として流通しているタイプ
- 油脂やヌメリの分解を目的とした薬剤
- 軽度〜中程度の排水の流れの悪さ向け
●ピーピースルーK(業務用)
- 成分濃度が高く、医薬用外劇物に分類される
- 強力な反応を起こすため取り扱いに注意が必要
- 購入時に書面での手続きが必要で、そもそも一般家庭向けの製品ではない
■まず知ってほしいこと:「強い薬剤=万能」ではありません
排水トラブルの原因は、大きく分けて3つあります。
- 油脂や石けんカスなどの蓄積 → 薬剤が効くのは主にこれ
- 食材カスや固形物などの異物 → 薬剤ではほぼ効果なし
- 配管の勾配や構造の問題 → 薬剤では絶対に直らない
薬剤が効果を発揮するのは主に「油脂系の汚れ」です。異物詰まりや構造的な問題にはほとんど意味がありません。
ここを知らずに強い薬剤を使ってしまうと、改善しないだけでなく、溶けかけた汚れが奥で再び固まって、かえって状態が悪化することもあります。
■使う前に必ず守ってほしい注意点
Fタイプを使う場合でも、次の点は必ず守ってください。
- 他の洗浄剤と絶対に混ぜない。 特に酸性タイプの洗剤と混ざると有毒ガスが発生する危険があります
- 換気をしながら使用する
- ゴム手袋を着用し、目に入らないよう注意する
- 使用量・放置時間・水温は、必ずパッケージの説明書きに従う。 「多く入れれば効く」は誤解で、規定量を超えても効果は上がりません
- 使用後に流れが改善しない場合は、繰り返さずに原因の確認へ
なお、Kタイプは劇物のため、保管・取り扱いを含めて家庭での使用はおすすめしていません。「Kなら一発で直るのでは」と探される方もいますが、Kが必要なレベルの詰まりは、そもそも薬剤ではなく物理的な洗浄が必要な段階であることがほとんどです。
■現場での実例:食肉加工の排水での判断
以前、食肉加工に関わる排水のご相談を受けたことがありました。
油脂分が多く、本来であれば高圧洗浄を行いたい状態でしたが、作業時間の確保が難しく、すぐに洗浄できない状況でした。
そこで今回は、
- まずはピーピースルーによる薬剤処理を行い
- 一度様子を見る
という現実的な判断になりました。その後、特にトラブルの連絡は入っておらず、一定の効果はあったようです。
ただし、これはあくまで「その場の条件に合わせた応急的な選択」です。すべての排水に同じ対応ができるわけではありません。
■ピーピースルーFが向いているケース・向かないケース
選択肢として検討できるケース
- 台所排水の流れが少し遅くなってきた
- 油料理が多いご家庭
- 完全には詰まっていない(水は流れている)
薬剤では解決しないサイン
- 水がほとんど流れない、または逆流してくる
- ゴボゴボと音がする
- 砂や固形物が原因の可能性がある
- 長年手入れしていない排水
- 薬剤を使っても数日〜数週間で症状が戻る
特に最後の「すぐ症状が戻る」は重要なサインです。汚れが配管の奥や外部の排水マスまで広がっている場合、薬剤が届く範囲だけきれいにしても根本は解決しません。この状態で薬剤を繰り返すのは、費用がかさむだけになりがちです。
■札幌の住まいならではの注意点
寒冷地の排水には、本州とは少し違う事情があります。
戸建ての場合、宅内だけでなく外部の排水マスで詰まっているケースも多くあります。排水マスの点検ガイドで確認方法を紹介しています
冬場は配管内の温度が低く、油脂が固まりやすいため、秋までに状態を整えておくのがおすすめです
凍結による配管トラブルと詰まりの症状は似ていることがあり、自己判断が難しいケースがあります
■薬剤で直らないときの選択肢
薬剤で改善しない詰まりには、物理的なアプローチが必要です。当社の現場では主に次の方法を使い分けています。
- トーラー(ワイヤー式の機械) — 局所的な詰まりに。業者が使う道具「トーラー」の紹介記事で詳しく解説しています
- 高圧洗浄 — 配管全体の油脂汚れを洗い流す方法。高圧洗浄の手順と効果の解説記事もご覧ください
どちらが適しているかは詰まりの場所と原因によって変わるため、現場で状態を見て判断します。
■まとめ:ピーピースルーは「使い方次第の選択肢」
- 軽度の油脂汚れには、Fタイプが役立つ場合がある
- Kタイプは劇物で、一般家庭向けではない
- 異物や構造が原因の詰まりに薬剤は効かない
- 薬剤を使っても症状が戻るなら、原因の確認が必要なサイン
業者を呼ぶ前にできる対処として知っておくのは大切ですが、排水の状態を見極めることが何より重要です。流れの悪さが続く場合は、無理に薬剤を繰り返すより、原因を確認することをおすすめします。
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よくあるご質問
ピーピースルーFとKはどちらを選べばいいですか?
一般家庭ではFタイプ一択と考えてください。Kタイプは医薬用外劇物に分類され、購入にも書面手続きが必要な業務用の薬剤です。Kが必要なレベルの詰まりは薬剤ではなく物理的な洗浄が必要な段階であることが多いため、症状が重い場合は専門業者への相談をおすすめします。
ピーピースルーを使っても排水の流れが改善しない場合はどうすればいいですか?
薬剤が効果を発揮するのは主に油脂や石けんカスなどの汚れに対してです。固形物の詰まりや配管の勾配・構造的な問題が原因の場合は薬剤では改善せず、トーラーや高圧洗浄など物理的なアプローチが必要になります。また、一度改善してもすぐ症状が戻る場合は、汚れが配管の奥や外部の排水マスまで広がっているサインです。繰り返し使用する前に原因の確認をおすすめします。
ピーピースルーを使う時に気をつけることはありますか?
他の洗浄剤(特に酸性タイプ)と混ぜないこと、換気をすること、ゴム手袋を着用すること、使用量や放置時間はパッケージの説明書きに従うことが基本です。規定量を超えて入れても効果は上がりません。使用しても改善しない場合は繰り返さず、原因の確認に切り替えてください。
札幌で排水管の高圧洗浄を頼むといくらかかりますか?
費用は配管の長さ・構造・詰まりの状態によって異なるため一概にはお伝えしづらい状況です。北嶺建設ではお見積り無料で対応しておりますので、まずは写真をLINEやメールでお送りいただくだけでも概算をご案内できる場合があります。お気軽にご相談ください。
村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。
保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。

