この記事でわかること
- 埋設排水管 布設替えの具体的な手順(掘削〜埋め戻し・転圧)
- 勾配確認と埋め戻しの精度が仕上がりを左右する理由
- 北海道の寒冷地で配管工事に必要な凍結深度への対応
工事部長の村松です。排水が地面の下で止まってしまうと、施設の管理者はその原因がつかめないまま対症療法を繰り返すことになります。今回の道北ゴルフ場様のケースも、埋設排水管の破断を放置していれば地盤沈下や施設内への逆流といった二次被害に発展していた可能性がありました。前編でカメラ調査により破断位置を特定した後、今回いよいよ掘削に入り、埋設排水管 布設替えを同日中に完了させました。この記事では掘削から通水試験、埋め戻し・転圧に至るまでの工程と、仕上がりを左右する判断ポイントをそのまま記録しています。

※前編(カメラ調査で破断位置を特定した記録)はこちらの記事をご覧ください。
現場の状況|露出した破断管が語っていたこと
埋設排水管の布設替えとは、地中に埋まった既存の破損管を掘り出して撤去し、新しい管を正しい勾配で敷き直す工事です。

掘削して管を露出させると、破断の様子が一目でわかりました。写真1のとおり、管の側面に縦方向の亀裂が走っており、そこから土が管内に侵入しています。管の材質は古いコンクリート系の管で、経年劣化と地盤の動きが重なり、接合部付近に応力が集中していたと考えられます。

違う箇所も破断していました。管の上部が半円形にめくれ上がり、継手部分がずれていることが確認できます。この状態では高圧洗浄で通管しても根本的な解決にはならず、掘削して管ごと交換する判断が唯一の選択肢でした。

写真4は管内から見た状態です。管の断面がほぼ塞がれており、土砂と水が混ざった状態でたまっています。流下能力がほぼゼロに近い状態で、排水が地表へ溢れていなかったのは、逃げ場として別の経路を使っていたからだと推測されます。こうした詰まりは突然起きるわけではなく、徐々に悪化しながら積み重なるものです。
掘削の段取り|重機と手掘りの使い分けが隣接設備を守る
舗装面へのカッター入れから始まり、既設管の際まではミニショベル(バックホウ)で掘り進め、管の直近は手掘りに切り替えています。
今回の現場では、破断した管の周辺に桝(マス)が設置されていました。写真6で確認できるとおり、コンクリート製の桝を一時撤去して管の入口・出口を確認します。このとき重機のバケットを管際まで入れてしまうと、隣接する桝や別の配管を傷つけるリスクがあります。「餅屋は餅屋」という感覚で、ここは設備屋さんとも確認しながら、手掘り範囲を慎重に決めました。
写真3は掘削が進んだ段階の全体像です。既設管の上部コンクリートスラブを割り、砕石層を取り除いて管を完全に露出させています。土の断面を見ると、砕石と土が混在した層構成になっており、埋め戻し時に良質な土を使う必要があることが現地でも判断できました。掘削ラインはできる限り最小限の幅に抑え、管の取り回しと施工性を確保しつつ、周辺舗装への影響を小さくしています。

写真は破損管の撤去作業です。コンクリート系の旧管を抱えながら慎重に引き抜いています。この段階で管の全長と勾配の現況を確認し、新管の布設計画を現地で最終確認します。図面と現場が食い違うことは少なくなく、開けてみて初めてわかることに合わせて計画を微修正するのが現場の常です。
埋設排水管 布設替えの核心|勾配と接合の精度が10年後を決める
新しい塩ビ管を布設する際、最も時間をかけるのが勾配の確認です。排水管は自然流下が前提なので、勾配が取れていなければ管が新品でも流れません。
写真9は新管を溝に納めている場面です。管の色が旧管と明確に異なり、VP管(薄肉塩ビ管)の灰色が確認できます。水平器と水糸を使い、起点と終点の高さを押さえながら管1本ごとに勾配を確認しています。接合部にはエスロン系の塩ビ用接着剤を使用し、差し込みが均一になるよう管端を清掃してから接合しています。

写真は3名で新管の接合作業を行っている場面です。一人が管を保持し、一人が接着剤を塗布し、一人が勾配器で確認するという役割分担で進めています。管を溝に下ろす前の準備——管端の清掃・接着剤の塗布タイミング・継手の向き——をきちんと整えておけば、接合自体はスムーズに終わります。逆に準備が雑だと、接着剤が硬化する前にやり直しが必要になり、かえって時間がかかります。
勾配が逆になると何が起きるか
排水管の勾配が逆勾配になると、水が下流に流れず管内に滞留します。滞留した水には土砂や油脂が沈殿しやすく、1〜3年でも詰まりの原因になります。今回の現場のように管の内径が大きい場合でも、勾配不足による「たわみ」があると流速が落ちて自浄作用が失われます。工事完了後の通水試験では、上流側から水を流して下流の桝に正常に抜けることを目視で確認しています。
埋め戻しと転圧|見えなくなる部分ほど手間を惜しまない
管の布設が終わったら、管まわりを砂で巻き立ててから良質土を20〜30cmずつ層状に入れ、各層ごとに転圧します。この工程を省くと路面の沈下につながります。

写真は砂巻き立てと埋め戻しが進んだ段階です。管の直上は細かい砂で充填し、石が直接管に当たらないようにしています。その上から良質な土を薄く敷いてはプレートで転圧し、また薄く敷いて転圧という繰り返しです。掘った土をそのまま一気に戻すと、見かけ上は埋まっていても内部に空隙が残り、半年から1年で路面が落ち込みます。ゴルフ場の駐車場や通路であれば、車両が通るたびに沈下が進む可能性があります。
北海道の寒冷地特有の対応——凍結深度と凍上
北海道では地盤が凍結する深さ(凍結深度)を考慮した埋設深さが必要です。札幌市の標準値では60cmとされており、道北地方では地域によってさらに深くなる場合があります。凍結深度より浅い位置に管を埋めると、冬の凍上で管が持ち上げられ接合部がずれる原因になります。今回の現場でも既設管の埋設深さを実測で確認し、新管が凍結ラインより下に収まるよう掘削深さを設定しました。
工事の流れ|掘削から仮復旧まで1日の工程
掘削から埋め戻し・仮復旧まで、この現場では約1日で完了しています。
まず舗装カッターでアスファルト面に切れ目を入れ、ミニショベル(バックホウ)で掘削します。既設管の際まで重機で掘り進め、管の直近は手掘りに切り替えて桝や隣接配管を傷つけないよう対応します。
管を完全に露出させ、破断箇所の状態を目視で確認します。亀裂の方向・位置・継手のずれ具合を記録し、新管の布設範囲と長さを現地で決定します。
コンクリート系の旧管を慎重に引き抜き、ダンプトラックで残土・ガラとともに搬出します。溝底部の状態を確認し、不陸があれば均しておきます。
塩ビ管(VP管)を水平器と水糸で勾配を確認しながら1本ずつ接合します。塩ビ用接着剤(エスロン系)を管端と継手の両面に塗布し、差し込み方向と深さを均一に仕上げます。
上流側から水を流し、下流の桝へ正常に排水されることを目視で確認します。漏水や流速の異常がないかを確認してから次工程に進みます。
管まわりを砂で充填して保護した後、良質土を20〜30cmずつ薄く敷いてはプレートコンパクターで転圧する作業を繰り返します。路盤が安定するまでこの層状転圧を丁寧に続けます。
当日は路面を仮復旧とし、路盤が十分に安定した後日にアスファルト本舗装を施工します。仮復旧でも車両通行に支障がないよう段差処理を行っています。
使用機材と選定の理由
今回使用した主な機材と、選んだ理由を整理しています。
| 機材・材料 | 用途と選定理由 |
|---|---|
| ミニショベル(バックホウ) | 狭い敷地内での掘削。機動性が高く、既設構造物への影響を最小限に抑えられる |
| 舗装カッター | アスファルトを直線に切断し、掘削範囲を最小限に絞るために使用 |
| 塩ビ管(VP管)・各種継手 | 耐食性・施工性に優れ、埋設排水管として広く使われる標準管種 |
| 塩ビ用接着剤(エスロン系) | 差込み接合の密着性を確保。硬化前に管のズレが起きないよう手早い施工が必要 |
| 水平器・水糸 | 管1本ごとの勾配確認に使用。数mmの誤差が長期的な流下性能に影響する |
| プレートコンパクター/ランマー | 層状埋め戻しの各層を確実に締め固めるために使用 |
| ダンプトラック | 残土・旧管ガラの搬出。現場から適切に処分することで路盤の汚染を防ぐ |

写真は桝を開けて配管の入口方向を確認している場面です。設備屋さんと連携しながら、新管が桝に正しく接続できるよう位置と角度を合わせました。桝と管の取り合いは、管交換の中でも接合精度が問われる箇所のひとつです。
この工事で感じた判断のポイント
掘削して管を替えること自体は、構造的にはシンプルな工事です。ただし、仕上がりの質を左右するのは埋め戻しの精度と勾配管理だと、この現場でも改めて確認しました。
特に埋め戻しは、層状転圧を省いてしまうと後々必ず路面に影響が出ます。路面が沈下すると、ゴルフ場の場合は利用者の安全に関わりますし、舗装の再補修コストも発生します。見えなくなる部分の手間を惜しまないことが、数年後のコストを抑えることに直結します。アスファルト路面の部分補修事例も参考にしてください。
なお、この方法(掘削による布設替え)が唯一の選択肢とは限りません。管の劣化状況によっては、掘削せずに管内にライナーを挿入する更生工法が適している場合もあります。ただしライナー工法は管の曲がりが多い箇所や、継手のズレが大きい場合には対応できないことがあり、今回のように破断が明確な場合は掘削交換が現実的です。カメラ調査の結果を踏まえた上で選択することが前提です。排水管カメラ調査で詰まりの原因を特定した事例も合わせてご覧ください。
同じ悩みをお持ちの施設管理者の方へ
「排水の流れが悪い」「定期的に詰まりが起きる」「地盤が沈んできた気がする」——こうした症状が続いている場合、埋設管の破断や勾配不良が原因になっていることがあります。高圧洗浄で一時的に解消しても再発するケースでは、カメラ調査で管内の状態を確認するところから始めるのが確実です。
北嶺建設では、カメラ調査から掘削・布設替え・埋め戻しまでを一貫して対応しています。道北地方を含む道内各地の現場にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。現地の状況を確認した上で、適切な方法をご提案します。
よくある質問
埋設排水管の布設替えはどのくらいの期間かかりますか?
破断箇所の規模にもよりますが、今回のように数メートル単位の交換であれば掘削から仮復旧まで1日程度が目安です。アスファルト本舗装は路盤安定後の後日施工となる場合があります。
カメラ調査をしないで掘削することはできますか?
可能ですが、破断位置が特定できていないと掘削範囲が広くなりコストが増します。カメラ調査で位置を絞り込んでから掘削する方が、工期・費用ともに効率的なケースが多い印象です。
北海道の冬場でも排水管の布設替え工事はできますか?
凍結した地盤での掘削は難易度が上がり、施工品質の確保が難しくなります。凍上の影響がある時期を避けた施工が理想ですが、緊急対応が必要な場合は現地条件を確認した上でご相談ください。
高圧洗浄で詰まりが解消されず繰り返す場合、管交換が必要ですか?
繰り返す詰まりは管の破断・勾配不良・継手のずれが原因のことがあります。洗浄で改善しない場合はカメラ調査で管内を確認し、状態に応じて布設替えか更生工法を検討するのが適切です。
埋め戻し後に路面が沈下するのはなぜですか?
層状転圧を省くと埋め戻し土に空隙が残り、車両荷重や降雨で少しずつ締まって沈下します。20〜30cmずつ薄く敷いて各層を転圧する施工が路面の長期安定に不可欠です。
村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。
📩 まずはお気軽にお問い合わせください

📞 電話:011-889-2833
📧 メール:info@re-hokurei.com
お問い合わせはこちらから
📷LINEやメールからの写真送信OK!


