建築業界の今後——資材高騰・人手不足・AIの波を現場から読む

建築業界の今後——資材高騰・人手不足・AIの波を現場から読む

この記事でわかること

  • 建築コストが上がり続けている本当の理由
  • 職人不足が現場にどう影響しているか
  • AIやDXが工務店にとって何を変えるのか
  • この先の住宅工事を依頼するときの判断軸

工事部長の村松です。お客様との打ち合わせのなかで、「最近、工事費ってなんでこんなに上がったんですか」という話になることが増えてきました。建築業界の今後について、現場目線で率直に書いておきたいと思います。情勢を難しく語るつもりはありませんが、住宅のオーナーや発注側の方に知っておいてほしい実情が、確かにあります。

建築業界 今後を読む前に——今、何が起きているか

建築業界の今後とは、コスト・人材・技術という三つの構造変化が同時に進行している状況のことです。

ここ数年で木材・鉄骨・断熱材・設備機器、ほぼすべての建材が値上がりしています。国土交通省が公表している建設工事費デフレーターでは、2020年を基準(100)とした木造住宅の指数が2023年度には130前後まで上昇しており(出典)、ひと言で言えば「同じ家を建てるのに3割以上余分にかかる」局面が続いています。

札幌でも状況は同じです。私たちが仕入れる構造材や断熱材の価格は、2021年ごろから段階的に上がり、一度上がった水準はほぼ下がっていません。「ウッドショックが落ち着いたのでは」と言われることもありますが、木材価格が落ち着いても、今度は金属系の資材・運送費・人件費が上昇しており、全体の工事費は高止まりしています。

コストの話をすると、次に気になるのが「それでも工事の質は保たれているのか」という点だと思います。

職人不足は「数」だけの問題ではない

現場で深刻なのは、職人の絶対数が減っているだけでなく、熟練した職人の引退が加速していることです。

国土交通省のデータでは、建設技能労働者の高齢化が進み、55歳以上が全体の約35%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまっています(出典)。札幌でも、長く一緒に働いてきた大工の親方が「もう膝が言うことを聞かない」と現場から退いていくのを、ここ数年で何度か経験しました。

問題は後継者です。若い職人を現場に入れても、熟練の技術が身につくまでには数年かかります。木の特性を読んで継ぎ手を刻む大工仕事、防水の端部処理を確実に押さえる板金屋の仕事——こういった技術は、図面やマニュアルだけでは伝わらない部分が多い。「餅屋は餅屋」という言葉の重みを、改めて感じています。

この状況が発注側に与える影響は、主に二つあります。一つは工期の長期化。もう一つは、業者によって施工品質のばらつきが以前より大きくなっているという点です。

では、費用と品質の両面が厳しくなるなかで、工務店はどう動いているのか。次の話につながります。

AIとDXが変える部分、変えない部分

AIや業務デジタル化(DX)は、建築業界の「段取り」と「情報共有」を確実に効率化しています。ただし、現場の施工作業そのものを代替できる段階ではありません。

私自身、昨年からAIを使った業務改善を試してきました。プラン提案書の作成AIで新築プラン提案書ができるか検証した記事、お客様向けのアンケート設計、ブログ記事の入力フォーム構築工事部長がAIでブログ入力フォームを作った話——いずれも「これは工事部長がやる仕事ではない」と思っていた事務作業の時間を、大幅に短縮できています。

一方で、AIが「コンクリートの表面に出たひび割れがどの深さまで達しているか」を現地で確認することはできません。設備屋から「この配管の勾配、ちょっと怪しいかもな」と言われたときに、開口部の場所と大きさを即座に判断することもできません。現場の判断は、まだ人間の仕事です。

建築業界全体では、図面のBIM化(3次元モデルでの設計・施工管理)や、現場の進捗をクラウドで管理するシステムの導入が進んでいます。大手ゼネコンや住宅メーカーはすでに標準化しつつありますが、中小の工務店レベルへの普及はこれからです。

費用・人材・技術のすべてが変化しているなかで、依頼側はどう判断すればいいのか。最後にその軸を整理します。

発注側が今後おさえておきたいポイント

工事を依頼する立場から見たとき、業界変化の影響を受けにくくするための判断軸は三つあります。

「安い見積もり」の中身を確認する

資材も人件費も上がっているにもかかわらず、他社より大幅に安い見積もりが出てきた場合、その差額がどこから来ているかを必ず確認してください。使用材料のグレードを下げているのか、施工工程を省いているのか、下請けへの単価を無理に抑えているのか——根拠を示せない業者は、後で問題が出やすい傾向があります。

特に気をつけたいのが、リフォーム済みの中古物件です。表面だけ仕上げられていて、構造体や断熱の状態がわからないケースがあります。外見がきれいでも、壁を開けると下地が劣化していた——という現場は、私たちも何度か経験しています。

補助金・助成制度の活用タイミングを逃さない

資材高騰の負担を少しでも和らげる手段として、国や自治体の補助制度があります。窓の断熱改修(内窓設置・サッシ交換)に使える補助金は、2026年度も継続して使える見通しです。ただし予算に上限があり、早い段階で受付終了になるケースも少なくありません。

「来年でもいいか」と思っているうちに枠が埋まることがあるので、検討中の方は早めに動くのが得策です。制度の詳細は変わることがあるため、最新情報は北海道や国土交通省の公式サイトで確認することをお勧めします(出典)

「地域の工務店」を選ぶ意味を見直す

ネットで工事業者を探すのが当たり前になり、比較サイトやマッチングサービスを使う方も増えています。それ自体は悪いことではありませんが、工事後のフォローや緊急対応を考えると、地元に根を下ろした業者の強みは依然として大きいと感じています。

札幌の冬は厳しく、凍結や雪害による急な修繕が必要になることがあります。遠方の業者に依頼した場合、対応に時間がかかるだけでなく、現地の気候条件を知らない施工になるリスクもあります。清田区近郊であれば、私たちが現地を確認してすぐに動けます。

今後の建築業界を整理——変化の全体像

ここまで書いてきた変化を、一度まとめて整理しておきます。

変化の軸現在の状況発注側への影響
資材コスト2020年比で木造住宅は指数130前後(国土交通省)工事費の上昇・見積精度の重要性が増す
職人の人材55歳以上が約35%・29歳以下は約12%(国土交通省)工期の長期化・品質ばらつきのリスク
AIとDX段取り・情報共有は効率化。現場施工は人手が前提事務・提案は速くなる。施工品質は業者選びで決まる
補助金制度断熱・省エネ系の補助が継続傾向。ただし予算に上限申請タイミングを逃さないことが重要
業者の選択肢比較サイト・マッチングサービスの普及地域密着と広域対応の違いを理解した上で選ぶ

一つ正直に申し上げると、この先しばらく「工事費が大幅に下がる」という見通しは立ちにくい状況です。資材価格・人件費・エネルギーコスト、どれも下落の兆しが見えていません。だからといって「今すぐやらなければ損」と煽るつもりもありません。必要な工事を適切な時期に、根拠を持って進める——それが、長い目で見たときに一番損をしない選び方だと思っています。

北嶺建設として、今後どう動くか

私たちが今、注力しているのは「段取りの精度を上げること」と「お客様への説明の質を上げること」の二点です。

職人の手配も資材の調達も、段取り次第でコストと工期の両方が変わります。「段取り八分」という言葉を長く一緒に働いた親方から教わりましたが、変化の激しい今こそその意味が重いと感じています。

説明の質については、AIを活用して見積書・提案書の作成効率を上げながら、その分をお客様との対話に充てるようにしています。工事の背景や選択肢をきちんと説明できる業者かどうか——それが、価格だけでは見えない業者の実力を測るひとつの指標だと思っています。

情勢が変わっても、建物を守る工事の本質は変わりません。札幌・清田区の現場で、これからも地道に動き続けます。お困りのことがあれば、まずお声がけください。

よくある質問

建築工事費はこれからも上がり続けますか?

資材・人件費・エネルギーコストの高止まりが続いており、近い将来に大幅な下落が見込める状況ではありません。当社では現地確認後にできる限り正確な見積もりをご提示していますので、まずはご相談ください。

職人不足で工事の品質が落ちていませんか?

職人の高齢化と人手不足は業界全体の課題です。当社では長年連携してきた職人と継続して仕事をしており、施工品質の維持に努めています。ただし繁忙期は工期に余裕が必要なケースもあります。

AIを使って工事の見積もりや提案はできますか?

AIは提案書の作成や情報整理に活用しています。ただし現地の状態確認や最終的な施工判断は人間が行います。建築業界の今後においてもAIは補助ツールであり、現場対応はこれまで通り職人が担います。

補助金を使って工事費を抑えることはできますか?

断熱改修や窓リノベなど、国や自治体の補助制度は複数あります。予算に上限があり年度内で受付終了になることもあるため、検討中の方は早めにご相談いただくことをお勧めします。

地元の工務店と大手業者、どちらに頼む方がいいですか?

工事後の緊急対応や、札幌の気候に即した施工が必要な場面では地元業者の強みが出ます。大手は保証体制が整っている反面、現地対応のスピードや小回りが利きにくいケースもあります。工事の内容に応じて選ぶのが現実的です。

この記事を書いた人

村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。



📩 まずはお気軽にお問い合わせください

私たちがお伺いしますの画像

📞 電話:011-889-2833
📧 メール:info@re-hokurei.com
お問い合わせはこちらから
📷LINEやメールからの写真送信OK!