階段に手すりを後付けしたい方へ|下地補強から行った施工事例

階段に手すりを後付けしたい方へ|下地補強から行った施工事例

「最近、階段の上り下りが少し不安になってきた」

「高齢の親が、壁や家具につかまりながら歩いている」

「家に手すりを付けたいけれど、どこへ相談すればよいかわからない」

このようなことでお困りではありませんか。

手すりは、転倒してから取り付けるのではなく、階段や玄関、トイレなどで日常の動作に不安を感じ始めた段階で検討することが大切です。

今回は、札幌近郊の工場で行った階段手すりの新設工事をご紹介します。

施工場所は工場ですが、壁の内部を確認し、必要な下地補強を行って手すりを確実に固定する方法は、戸建て住宅やマンションの階段、廊下、玄関などにも共通します。

この記事では、実際の施工工程とあわせて、家庭で手すりを後付けするときに確認したいポイントをご説明します。

手すりの設置を考えたいサイン

次のような様子が見られる場合は、手すりの設置を検討する時期かもしれません。

  • 階段を上るときに壁へ手をついている
  • 階段を下りるときに足元を怖がる
  • 玄関の上がりかまちでふらつく
  • トイレから立ち上がるのに時間がかかる
  • 浴槽をまたぐ動作が不安になってきた
  • 廊下の家具につかまりながら歩いている
  • 以前より外出や入浴の回数が減ってきた

ご本人は「まだ大丈夫」と考えていても、家族から見ると危険を感じることがあります。

特に、札幌の冬は屋外での転倒だけでなく、厚手の衣服や寒さによる身体の動かしにくさから、玄関や階段でバランスを崩すこともあります。

転倒事故が起きてから慌てて工事を考えるのではなく、日常動作に不安が出始めた段階で住まいを確認しておくことが重要です。

今回の施工事例|工場の階段に手すりを新設

今回ご依頼いただいたのは、工場内にある階段の手すり新設工事です。

階段の壁側には手すりがなく、従業員の方からも「上り下りに不安がある」という声が出ていました。

そこで、安全対策として壁側にステンレス製の手すりを新設することになりました。

単に壁の表面へ金具を取り付けるのではなく、壁の内部を確認し、手すりへ体重をかけても耐えられるよう下地補強から施工しています。

工事の流れ

1.階段まわりを養生します

最初に、階段や周囲を傷つけたり汚したりしないよう養生します。

既存の建物で工事を行う場合は、新しい部材を取り付けることだけでなく、工事を行わない部分を保護することも大切です。

住宅の場合も、床、階段、家具、建具などを確認し、必要な範囲を養生してから作業を始めます。

階段養生

2.壁を一部開口して下地を確認します

手すりを安全に固定するため、壁の一部を開口し、内部の下地を確認しました。

住宅の壁は、どこにでも手すりを固定できるわけではありません。

石こうボードだけに金具を取り付けると、手すりへ強い力が加わったときに、金具が緩んだり壁ごと破損したりするおそれがあります。

そのため、柱や間柱など固定できる部分の位置を調べ、必要に応じて壁の内部へ補強材を追加します。

壁剥がし
壁撤去

3.手すり取付用の下地を補強します

今回の現場では、手すり受け金具を確実に固定できるよう、壁の内部へ補強材を取り付けました。

手すりは、歩行時に軽く触れるだけでなく、ふらついたときに体重を支える役割もあります。

見た目がきれいでも、必要な強度が確保されていなければ、安全設備として十分とはいえません。

住宅で手すりを後付けする場合も、利用する方の身体状況、手すりにかかる力、壁の構造を確認したうえで施工方法を決めます。

手すり取付下地

4.手すり本体を取り付けます

下地補強が完了した後、取付位置と高さを確認しながら、手すり受け金具と手すり本体を設置しました。

今回は、工場内の雰囲気や用途に合わせて、シンプルなステンレス製の手すりを採用しています。

住宅では、木目調、樹脂被覆、金属製など、室内の内装や使用場所に合わせて選ぶことができます。

手すり取付

5.壁とクロスを復旧します

手すりの取付後は、開口した壁の石こうボードを復旧し、継ぎ目やビス部分をパテで平らに整えます。

その後、既存の壁に合わせてクロスを補修しました。

手すり本体だけを取り付けるのではなく、壁の補強、ボード補修、パテ処理、クロス仕上げまで行うことで、工事箇所が目立ちにくい状態に仕上げています。

パテ処理中

工期は3日間でした

今回の工事は、下地補強、手すり取付、壁の復旧、クロス補修を含めて3日間で完了しました。

工場の稼働への影響を抑えるため、土曜日と祝日を利用して工事を進めています。

住宅の場合は、手すりの長さ、設置箇所、壁の状態、内装補修の有無によって工期が変わります。

下地がある位置へ短い手すりを取り付ける工事と、壁を開口して補強から行う工事では、必要な作業内容が異なります。

完成

家庭で手すりを設置することが多い場所

手すりは、階段だけに設置するものではありません。

実際に生活している方の動きを確認し、力を入れたい場所や、身体の向きを変える場所へ取り付けることが大切です。

階段

階段では、上りよりも下りる動作に不安を感じる方が少なくありません。

途中で手すりが途切れたり、最後の一段まで届いていなかったりすると、手を離した直後にバランスを崩すことがあります。

階段の形状や身体状況によっては、片側だけでなく両側への設置を検討します。

玄関

玄関では、上がりかまちの昇降と、靴を履いたり脱いだりする動作の両方を考える必要があります。

縦型の手すりが適している場合もあれば、玄関内を移動するための横型手すりが必要な場合もあります。

段差が大きい場合は、手すりだけでなく踏み台や段差解消も含めて検討します。

トイレ

便器から立ち上がるときは、前方や横方向へ大きな力がかかります。

壁の位置や便器との距離、ご本人の立ち上がり方によって、縦型、横型、L型など適した手すりが異なります。

狭いトイレでは、手すりを設置したことで動きにくくならないよう、位置を慎重に決める必要があります。

浴室・脱衣室

浴室は床が濡れるため、住宅の中でも転倒に注意したい場所です。

浴槽をまたぐ場所、洗い場から立ち上がる場所、浴室の出入口など、動作ごとに必要な手すりが異なります。

浴室の壁材によって施工方法が変わるため、事前の確認が欠かせません。

廊下・室内の出入口

寝室からトイレまでの移動経路や、室内で方向を変える場所に手すりが必要になることもあります。

夜間に移動する場合は、手すりだけでなく照明や足元灯も併せて検討すると安全性を高められます。

玄関前・屋外階段

屋外では、雨、雪、凍結の影響を受けるため、屋内とは異なる材料や固定方法が必要です。

札幌では冬期間の除雪や凍結も考え、手すりの位置、形状、雪のたまり方まで確認して計画します。

手すりは「壁に棒を付けるだけ」の工事ではありません

安全に使える手すりを設置するには、次の点を確認する必要があります。

誰が、どのような動作で使うのか

身長や利き手だけでなく、階段を上るときと下りるときの動き、立ち上がり方、身体の向きを変える方向などを確認します。

家族が使いやすいと思う位置と、ご本人が実際に力を入れやすい位置が異なることもあります。

壁の中に固定できる下地があるか

取付位置に十分な下地がない場合は、壁の内部へ補強材を入れる方法や、壁の表面へ補強板を取り付ける方法などを検討します。

壁を壊さずに施工できる場合もありますが、強度や仕上がりを優先して壁の一部を開口することもあります。

手すりの太さや材質が合っているか

手の大きさや握力によって、握りやすい太さは異なります。

浴室や屋外では、水や寒さによる滑りやすさ、温度変化、さびへの耐久性も考える必要があります。

動線を妨げないか

手すりを設置したことで通路が狭くなったり、扉が開かなくなったり、家具と干渉したりする場合があります。

現在の動作だけでなく、将来、杖や歩行器を使用する可能性も考えながら計画します。

手すりの相談をきっかけに、住まい全体を確認できます

手すりを必要とする場所には、手すり以外の不便が隠れていることがあります。

例えば、玄関であれば大きな段差、階段であれば暗さや滑りやすさ、トイレであれば狭さや扉の開き方、浴室であれば床の滑りや浴槽の高さなどです。

北嶺建設では、手すりの取付だけでなく、次のような住宅改修もご相談いただけます。

  • 玄関や室内の段差解消
  • 滑りにくい床材への張り替え
  • 開き戸から引き戸への変更
  • 階段や廊下の照明改善
  • トイレの交換や出入口の改修
  • 浴室の手すり取付や浴室リフォーム
  • 廊下や出入口の幅の見直し
  • 壁、床、クロスなどの内装補修
  • 外階段や玄関ポーチの補修

すべてを一度に工事する必要はありません。

まずは、生活への支障が大きい場所、安全上の危険が高い場所、少ない工事で改善効果が期待できる場所の順に整理することが大切です。

「手すりだけでよいのか、ほかの場所も直した方がよいのかわからない」という段階でもご相談いただけます。

介護保険の住宅改修を利用できる場合があります

要支援または要介護の認定を受けている方が住む住宅では、手すりの取付が介護保険の住宅改修費支給対象になる場合があります。

制度を利用する場合は、原則として工事を始める前の申請が必要です。

すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、最初にケアマネジャーへ相談してください。担当者がいない場合は、お住まいの区役所や地域包括支援センターへ確認します。

認定を受けていない方や、制度の対象にならない工事についても、通常の住宅改修として施工することは可能です。

制度の内容や必要書類は変更される場合があるため、工事を決める前に最新の条件をご確認ください。

こんな方は北嶺建設へご相談ください

  • 高齢の親が階段を怖がるようになった
  • 親が壁や家具につかまりながら歩いている
  • 玄関やトイレに手すりを付けたい
  • 壁に下地があるかわからない
  • 市販の手すりを自分で付けるのが不安
  • 手すりと一緒に段差や床も直したい
  • 家のどこから改修すればよいかわからない
  • 手すりだけの工事を頼める業者を探している
  • 将来に備えて住まい全体を確認してほしい

手すり一本のご相談でも、家全体のバリアフリーリフォームでも、現在の生活状況を確認しながら必要な工事を整理します。

ご相談時に教えていただきたいこと

お問い合わせの際は、次の内容をお知らせいただくと確認がスムーズです。

  1. 手すりを付けたい場所
  2. 主に使用する方
  3. 困っている動作
  4. 要支援・要介護認定の有無
  5. 壁や設置場所の写真

LINEやメールから写真をお送りいただくこともできます。

写真だけでは判断できない場合は、現地で壁の状態、設置位置、動線などを確認します。

よくあるご質問

階段の壁に下地がなくても、手すりを取り付けられますか?

壁の内部へ補強材を追加する方法や、壁の表面へ補強板を設置する方法などがあります。壁の構造や仕上げによって適した方法が異なるため、現地確認が必要です。

手すり一本だけでも依頼できますか?

設置場所や施工条件によりますが、手すり一本からご相談いただけます。壁の補修やクロス工事が必要な場合も含めて確認します。

工事には何日かかりますか?

取付箇所、手すりの長さ、下地の状態、内装補修の有無によって異なります。今回の工場事例は、下地補強とクロス補修を含めて3日間でした。

介護保険を利用できますか?

要支援・要介護認定を受けている方のための手すり取付は、対象になる場合があります。工事前の申請が必要になるため、着工前にケアマネジャーや区役所へご相談ください。

手すり以外のリフォームも一緒に相談できますか?

段差解消、床の張り替え、引き戸への変更、トイレや浴室の改修、照明の改善などもご相談いただけます。生活への支障や危険性を確認し、優先順位を整理してご提案します。

まとめ|転倒する前に、今の動きに合った手すりを

手すりは、ただ壁に取り付ければよい設備ではありません。

使用する方の動きや身体状況を確認し、適切な位置を決め、壁の下地へ確実に固定することが重要です。

今回の工場階段でも、壁の内部へ補強材を入れ、手すり取付後にボードとクロスを復旧しました。この施工方法は、住宅の階段や玄関などに手すりを後付けする場合にも応用できます。

また、手すりの相談をきっかけに住まいを確認すると、段差、滑りやすい床、重い扉、暗い廊下など、ほかの危険箇所が見つかることがあります。

北嶺建設では、手すり一本の取付から、玄関、階段、トイレ、浴室を含む住宅全体のバリアフリーリフォームまで対応しています。

階段の上り下りや立ち座りに少しでも不安を感じ始めたら、転倒事故が起きる前にご相談ください。

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この記事を書いた人

村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。 保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。