外壁凍害・サイディング部分張替+全面塗装|札幌市清田区の戸建て施工事例

築25年、一度も外部メンテナンスをしていない戸建て住宅で、外壁凍害による表層の剥離とシーリングの破断が全体に広がっていました。放置すると外壁内部への浸水が進み、下地木材の腐朽や断熱材の濡れにつながります。この記事では、塗装で対応できる箇所と張替が必要な箇所をどう見分けたか、廃番サイディングをどう扱ったか、現場の判断を記録しています。

この記事でわかること

  • 外壁凍害の見分け方と、塗装・張替の判断基準
  • 廃番サイディングを「移設」して外観の一体感を保つ方法
  • 目地シーリング打ち替えが防水と耐震の両方に関係する理由

外壁凍害とは何か——札幌の戸建てに起きやすい劣化のしくみ

外壁凍害とは、外壁材の内部に染み込んだ水分が冬の凍結と融解を繰り返すことで、表層が割れ・剥離していく劣化現象です。

札幌は気象庁の平年値(1991〜2020年)で真冬日が年間43.6日、1月の平均気温が-3.2℃(出典)。この繰り返しが窯業系サイディングにとって特に厳しい条件になります。塗膜が生きているうちは表面で水をはじきますが、塗膜が切れると素地が直接水を吸い始め、凍害の速度が一気に上がります。

今回の物件は築25年で外部メンテナンスの履歴がなく、塗膜保護がほぼ機能していない状態でした。一部に過去の応急補修の跡はありましたが、根本的な対処には至っておらず、劣化がさらに進んでいた箇所もありました。

水切り付近の下段で凍害が進行し、表層が激しく剥離・崩壊している状態
水切り付近の下段で凍害が進行し、表層が激しく剥離・崩壊している状態

写真のように、水切り付近の下段から凍害が進む傾向があります。水が溜まりやすい部位ほど吸水と凍結のサイクルが集中するためです。上段はまだ表層が保たれていても、下段は素地がぼろぼろになっているケースが多い印象です。

凍害が進んだ箇所に塗料を乗せても、素地の剥離が続くため数年で再び浮きや剥がれが出てきます。どこを塗装で対応し、どこを張り替えるかの判断が今回の工事の核心でした。

事前調査で「塗装可」と「張替必要」を一枚ずつ判定した

足場を組む前に私たちが現地を調査し、その後塗装店にも外部を再調査してもらい、面ごと・枚ごとに判定を行いました。

コーナー部分の上段でサイディング表層が大きく剥落した凍害の被害箇所
コーナー部分の上段でサイディング表層が大きく剥落した凍害の被害箇所

判定の基準は主に3点です。

  • 表層の状態——素地がボロボロに崩れているか、塗膜が浮いて剥離しているか
  • シーリングの状態——目地が破断して奥の金物が見えているか、シーリングが痩せて隙間が開いているか
  • 浮き・たわみの有無——金具留め工法の場合、金具そのものが緩んでいないかを指や当て木で確認
窓枠取り合い部でシーリングが破断し、サイディング端部が欠損している状態
窓枠取り合い部でシーリングが破断し、サイディング端部が欠損している状態

写真2・5・6のように、目地部分のシーリングが完全に破断して内部の金物が露出しているケースが複数ありました。金具留め工法では目地のシーリングは防水だけでなく、地震時にサイディングがずれるのを吸収するバッファーの役割も持ちます。シーリングが切れると揺れのたびにサイディング同士がぶつかり、端部から欠けやすくなります。

数枚を張替えとし、残りは高圧洗浄後に補修・塗装で対応することにしました。判定を共有して塗装店と私たちで認識をそろえてから足場を架けたことで、工事中の手戻りはほぼありませんでした。段取りがあって初めて工事が動くと思っています。

廃番サイディングの「移設」——外観の一体感を保つための手間

部分張替でもっとも悩むのは、既存の柄と新しいサイディングの柄が合わないことです。今回使われていたサイディングはすでに廃番で、同じ柄は流通していません。

目地シーリングが完全に破断し、内部の金物が露出した窯業系サイディングの状態
目地シーリングが完全に破断し、内部の金物が露出した窯業系サイディングの状態

そこで採った方法が「移設」です。正面など人目につく面の傷んだ箇所は、建物の側面や裏面から状態のよい同柄の既存材を慎重に剥がして移設します。柄違いの新規材は目立たない裏面に取り付けます。手間は通常の張替の1.5倍以上かかりますが、正面から見た外観の一体感は全面張替と見分けがつかない仕上がりになります。

方法費用感外観の一体感工期
全面張替高い◎ 新材で統一長い
部分張替(通常)低い△ 柄のズレが目立つ短い
部分張替+既存材移設(今回)中程度○ 正面は既存柄で統一中程度

全面張替が最も確実ですが、コストは大きく上がります。「傷みが一部なのに全部剥がすのは過剰だ」と判断できる現場では、移設という選択肢が費用と外観のバランスをとりやすいと感じています。ただし、移設に耐えられるほど既存材の状態がよい場合に限ります。劣化が広範囲に及んでいれば、この方法では対応しきれないケースもあります。

足場上から見た全面の目地シーリング切れ——縦目地が広範囲にわたって開口している
足場上から見た全面の目地シーリング切れ——縦目地が広範囲にわたって開口している

目地シーリング打ち替えと3回塗装——工事の流れと各工程の意図

張替が終わった後、シーリング打ち替えと塗装を順番に行いました。各工程には独立した役割があります。

STEP
弊社による事前調査

凍害・シーリング切れ・浮きの有無を面ごとに確認し、写真記録を作成。塗装店と情報を共有するための下地資料にしました。

STEP
足場架設・飛散防止メッシュ養生

住宅密集地のため、飛散防止メッシュを全面に設置。高所作業の安全確保と近隣への粉塵・塗料飛散を防ぐためです。

STEP
塗装店による外部再調査・張替箇所の確定

私たちの調査結果と塗装店の目線を照合し、「塗装で保護できる箇所」と「張替が必要な箇所」を最終確定。二重チェックで見落としを防ぎます。

STEP
劣化サイディングの撤去・下地確認・部分張替(移設含む)

張替対象を撤去後、透湿防水シートの状態を確認。正面には側面・裏面から既存同柄材を移設し、裏面には新規材を施工しました。

STEP
目地シーリング打ち替え

既存シーリングを全撤去し、プライマーを塗布してから新規シーリングを充填。防水性の回復と、金具留め工法特有の揺れ吸収機能を取り戻します。

STEP
下塗り・中塗り・上塗りの3回塗装

下塗りで素地との密着を確保し、中塗り・上塗りで塗膜厚を積み上げます。3工程を省略せずに行うことで塗膜の耐久性が維持されます。

STEP
完了検査・足場解体

塗り残し・シーリングの打ち残し・張替部の納まりを目視と指触で確認後、足場を解体して引き渡しとなります。

軒天との取り合い部でシーリングが破断し、サイディング上端が浮いている状態
軒天との取り合い部でシーリングが破断し、サイディング上端が浮いている状態

シーリング打ち替えの工程は、既存シーリングを完全に撤去してから新しいものを入れる「打ち替え」であることが前提です。既存の上から重ねて打つ「増し打ち」は費用が安い反面、既存の劣化シーリングとの密着が不安定で、今回のように破断が進んでいる場合には選択しませんでした。

外壁凍害の補修で「塗装だけ」では再発する理由

凍害が進んだ箇所に塗料を乗せると、見た目は一時的に改善しますが、素地内部の損傷は残ったままです。

部分張替後・塗装前の状態。移設した既存材と新規材が混在する面の全体像
部分張替後・塗装前の状態。移設した既存材と新規材が混在する面の全体像

素地がボロボロに崩れた状態のサイディングは、塗料との密着が確保できません。塗膜が浮いて短期間で剥がれ、また水が入り込む——この繰り返しになります。凍害が一定以上進行した箇所は、塗装の前に張り替えることで初めて塗装の保護効果が機能する状態になります。

シーリング打ち替え施工中。既存撤去後にプライマーを塗布し充填前の目地の状態
シーリング打ち替え施工中。既存撤去後にプライマーを塗布し充填前の目地の状態

一方、表層に軽微なチョーキング(塗膜が粉化した状態)や細かいひび割れが生じているだけであれば、高圧洗浄で洗浄した後に下塗り材で素地を固め、3回塗装することで十分に対応できます。今回は一枚ずつ手で触れて状態を確認し、「塗装で対応できる」と判定した箇所については塗装のみで仕上げました。

築年数が同じでも、南面と北面・軒先付近と基礎付近で劣化の進み方は異なります。一律に「全部塗装」「全部張替」と決めるよりも、枚ごとに判断する方が費用と耐久性のバランスをとりやすいと私たちは考えています。

工事を終えて——今後の外壁メンテナンスの目安について

今回の工事で塗膜保護が回復し、凍害の再進行を抑える状態に戻りました。ただし塗膜は消耗品です。

外壁凍害の補修工事で足場・飛散防止メッシュを設置した戸建て全景(札幌市清田区)
外壁凍害の補修工事で足場・飛散防止メッシュを設置した戸建て全景(札幌市清田区)

一般的に、外壁塗装の耐用年数は使用塗料の種類によって異なり、シリコン系で10〜12年、フッ素系で15〜20年程度が目安とされています。ただしこれはあくまで標準的な環境下での数値であり、札幌のように凍結・融解が繰り返される環境では、南面と北面で劣化速度が変わる場合もあります。

撤去したサイディングの断面——素地内部まで凍害が進行し、層状に割れている
撤去したサイディングの断面——素地内部まで凍害が進行し、層状に割れている

目安として、築10年・塗装後10年を一つの節目として外部の状態確認を行うことをお勧めしています。特に確認してほしいのはシーリングの状態です。塗膜はまだ生きていてもシーリングが先に劣化することがあり、そこから水が入って下地を傷めます。定期的に目地部分を近くから見て、「割れていないか」「隙間が開いていないか」を確認しておくと、大がかりな補修になる前に対処しやすくなります。

撤去したサイディング端部の断面。凍結・膨張による層間剥離が明確に確認できる
撤去したサイディング端部の断面。凍結・膨張による層間剥離が明確に確認できる

札幌市清田区での外壁凍害補修・サイディング張替・外壁塗装についてのご相談は、現地調査・お見積りとも無料で対応しています。足場が必要な工事のため、近隣で工事する予定がある場合は合わせてご相談いただくとコストを抑えられる場合があります。

よくある質問

外壁の一部だけ剥がれているのですが、全部張り替えないといけませんか?

凍害の程度によります。素地が崩れていない箇所は塗装で対応できる場合もあります。一枚ずつ状態を確認してから判断するのが基本で、当社では足場を架ける前に現地調査を行っています。

廃番のサイディングを使っている場合、部分張替はできないのでしょうか?

同じ柄が手に入らなくても、目立たない面から既存材を移設することで正面の外観を揃える方法があります。ただし移設できるほど既存材の状態が良好であることが前提です。現地確認が必要です。

外壁塗装だけでは外壁凍害の再発を防げないのでしょうか?

塗膜が切れる前の状態なら塗装で防水機能を回復できますが、すでに素地が層状に割れている場合は塗装との密着が取れず、数年で再び剥がれる可能性があります。傷みの程度で判断が変わります。

目地のシーリングは塗装と同じタイミングでやった方がいいですか?

塗装と同時に打ち替えると足場代が1回で済むため費用を抑えられます。シーリングの耐用年数は塗料よりやや短い傾向があるため、塗装のタイミングに合わせて一緒に対処しておくのが合理的です。

工事中、家には住んだままでいられますか?

外壁塗装・サイディング張替ともに、基本的に居住しながら施工できます。窓を塞ぐ養生の時間帯や塗料の臭いが発生する日についてはあらかじめご案内しています。

この記事を書いた人

村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。



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