工事部長の村松です。
屋根の色あせやサビが気になってきたとき、
「屋根塗装は塗装会社に頼めばよいのか」
「板金会社や工務店へ相談した方がよいのか」
「塗装と屋根の張り替えは、どう判断するのか」
と迷う方は少なくありません。
屋根工事の相談先には、塗装会社、屋根・板金会社、リフォーム会社、工務店、建設会社などがあります。
ただし、会社の業種だけで良し悪しが決まるわけではありません。
大切なのは、屋根の状態を確認したうえで、塗装、部分補修、カバー工法、葺き替えの中から適切な方法を説明できるかどうかです。
今回は、札幌市清田区で行った大きな三角屋根の葺き替え事例をご紹介します。
既存の屋根材を撤去して新しい屋根材を施工するだけでなく、天窓の交換、劣化した煙突の板金補修、風見鶏の再塗装まで行いました。
札幌で屋根塗装や屋根の張り替えをどこに頼めばよいか分からない方は、業者選びの参考にしてください。
屋根塗装・屋根張り替えはどこに頼めばよい?
屋根工事の相談先は、主に次のような会社です。
塗装会社
屋根や外壁の塗り替えを専門にしている会社です。
屋根材や下地に大きな問題がなく、主な劣化が色あせ、塗膜の剥がれ、表面的なサビであれば、塗装会社へ相談する方法があります。
一方、屋根材の穴あき、広範囲の腐食、雨漏り、下地の傷みなどがある場合は、塗装だけでは対応できないことがあります。
塗装以外の板金工事や下地補修を自社で行うのか、別の会社へ依頼するのかも確認しておきましょう。
屋根・板金会社
金属屋根の施工、部分補修、葺き替え、カバー工法などを専門とする会社です。
札幌の戸建て住宅に多い金属屋根について、専門的な施工経験を持つ会社もあります。
ただし、天窓周辺の木下地、煙突、断熱、雨漏りによる室内側の修繕など、複数の工事が必要な場合に、どこまで対応できるかは会社によって異なります。
リフォーム会社・工務店・建設会社
屋根だけでなく、大工工事、断熱工事、外壁工事、内装工事などを含めて、住宅全体の工事を管理できる会社です。
屋根を剥がしたあとに下地の腐食が見つかった場合や、天窓、煙突、外壁との取り合いまで直す必要がある場合は、複数の職種をまとめて管理できる会社へ相談すると工事を進めやすくなります。
ただし、「建設会社だから必ず安心」「塗装会社だから葺き替えはできない」と一律に判断することはできません。
実際の施工経験、工事範囲、説明内容、見積書を確認して選ぶことが重要です。
屋根工事は会社名ではなく、対応できる工事内容で選ぶ
屋根工事を依頼するときは、会社の業種よりも、次の点を確認してください。
- 塗装と葺き替えの両方を比較して説明できるか
- 屋根材の表面だけでなく下地まで考えているか
- 雨漏りの原因を調査できるか
- 金属屋根の板金工事に対応できるか
- 天窓や煙突などの付帯部分も確認するか
- 大工工事や断熱工事が必要な場合に対応できるか
- 急勾配屋根の施工経験があるか
- 施工中の写真を残してくれるか
- 追加工事が発生した場合の説明方法が明確か
見積金額だけを比べると、必要な工事が含まれているかどうかを見落とす可能性があります。
まずは「どこまで調査し、どこまで工事する見積もりなのか」を比較してください。
屋根塗装・カバー工法・葺き替えの違い
屋根の改修方法は、主に次の3つです。
屋根塗装
既存の屋根材を残し、表面を洗浄、下地処理してから塗装する方法です。
屋根材や下地がまだ使用でき、塗膜の劣化や表面的なサビが中心である場合に検討します。
屋根塗装でできるのは、主に屋根材表面の保護です。
次のような問題を塗装だけで直すことはできません。
- 屋根材に穴が開いている
- 屋根材そのものが薄くなっている
- 接合部が大きく変形している
- 防水シートが劣化している
- 野地板などの下地が腐食している
- 天窓や煙突周辺から雨水が入っている
- 室内まで雨漏りしている
サビの上から塗れば元に戻るわけではありません。
屋根材の状態を確認し、塗装で保護できる段階なのかを判断する必要があります。
屋根カバー工法
既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい屋根材を施工する方法です。
既存屋根の撤去量を抑えられるため、条件によっては工期や廃材を減らせます。
ただし、どの住宅でも採用できるわけではありません。
既存屋根の形状、下地の状態、屋根の重量、天窓や煙突の有無、軒先や外壁との納まりなどを確認する必要があります。
既存屋根を残すため、内部の状態を全面的に確認しにくいことも注意点です。
屋根葺き替え
既存の屋根材を撤去し、必要に応じて下地や防水層を補修したうえで、新しい屋根材を施工する方法です。
一般の方が「屋根の張り替え」と呼ぶ工事は、専門的には「屋根の葺き替え」と呼びます。
屋根材を撤去するため、次のような部分を確認しやすくなります。
- 防水シートの状態
- 野地板などの屋根下地
- 雨水が入った形跡
- 天窓周辺の納まり
- 煙突や外壁との取り合い
- 屋根材を固定する下地
雨漏りがある場合や、屋根材の腐食が進んでいる場合、下地の状態が心配な場合には、葺き替えを検討します。
塗装か葺き替えかは、築年数だけでは決められません
「築何年なら塗装」「築何年なら葺き替え」と、年数だけで決めることはできません。
屋根の状態は、次の条件によって変わります。
- 屋根材の種類
- 屋根の勾配
- 過去の塗装や補修履歴
- 日当たりや風当たり
- 積雪や落雪の状況
- 雪止め金具の有無
- 天窓や煙突の有無
- 屋根材や板金の施工方法
- 小屋裏の断熱・換気状態
- 雨漏りやすが漏れの有無
同じ時期に建てられた住宅でも、屋根の傷み方は異なります。
年数だけで工事方法を決めるのではなく、現在の状態を確認することが必要です。
今回は大きな三角屋根を葺き替えました
今回ご紹介するのは、札幌市清田区にある戸建て住宅です。
大きな三角屋根で、屋根の勾配が非常に急な建物でした。
工事内容は次のとおりです。
- 既存の鉄板屋根を撤去
- 防水シートを施工
- 新しい屋根材を施工
- 既存の天窓を交換
- 劣化したレンガ煙突を板金で包む
- 風見鶏を再塗装して取り付け
- 仮設足場と安全設備の設置
屋根材だけを新しくする工事ではなく、屋根に付属する天窓や煙突も含めて改修しました。
既存の鉄板屋根を撤去
最初に、既存の鉄板屋根を剥がしていきます。
屋根材を撤去すると、普段は見ることができない屋根の内側を確認できます。
葺き替え工事では、屋根材を剥がしたあとに、下地の傷み、雨水が入った形跡、防水層の状態などを確認することが重要です。
今回の屋根は勾配が急なため、通常の屋根工事以上に足元や資材の落下へ注意しながら作業を進めました。

防水シートを施工
既存の屋根材を撤去したあと、防水シートを施工しました。
屋根は、表面に見えている屋根材だけで雨水を防いでいるわけではありません。
屋根材の下に施工する防水シートも、建物へ雨水を入れないための重要な部分です。
完成後は見えなくなる部分だからこそ、施工中の状態を写真で記録しておくことが大切です。


既存の天窓を撤去して交換
屋根には、ベルックスの天窓が設置されていました。
今回は屋根の葺き替えに合わせて、既存の天窓を撤去し、新しいものへ交換しています。


天窓周辺は、屋根材、防水シート、下地、専用水切りなどが取り合う部分です。
屋根を葺き替えても、古い天窓や周辺の防水処理をそのまま残すと、将来的に天窓部分だけが先に傷む可能性があります。
屋根の葺き替えを行うときは、天窓についても次の選択肢を検討します。
- 既存の天窓を残す
- 新しい天窓へ交換する
- 天窓を撤去して屋根を塞ぐ
どの方法が適しているかは、天窓の状態、使用状況、室内の明るさ、雨漏りの有無、交換部品の供給状況などを確認して判断します。
新しい屋根材を施工
防水シートの施工後、新しい屋根材を葺いていきました。
屋根材は、軒先、棟、天窓、煙突など、各部の納まりを確認しながら施工します。
急勾配屋根では、屋根材や工具を安全に扱うための足場と作業計画も重要です。
【写真:新しい屋根材を施工しているところ】
【写真:屋根材の施工途中】

ひび割れたレンガ煙突を板金で包みました
屋根にはレンガ積みの煙突がありました。
煙突には経年劣化によるひび割れが見られたため、今回は煙突の周囲を板金で包んで保護しました。

煙突は、屋根面を貫通するため、雨水が入りやすい箇所の一つです。
煙突本体だけでなく、屋根との接合部分や水切りの状態も確認する必要があります。
レンガやモルタルの表面だけを補修すればよいのか、板金で包むのか、煙突そのものを撤去するのかは、使用状況と劣化状態によって判断します。
風見鶏を塗装して再設置
屋根の先端には、風向きを示す風見鶏が取り付けられていました。
屋根の葺き替えに合わせて風見鶏も塗装し、工事後に再び取り付けました。
【写真:風見鶏の塗装前】
【写真:塗装後に再設置した風見鶏】
屋根工事では、屋根材だけでなく、雪止め、アンテナ、煙突、天窓、換気部材、飾り金物などの取り扱いも事前に確認しておく必要があります。
見積もりに含まれているのか、別工事になるのかを確認しておきましょう。
濃紺の三角屋根が完成
工事期間中は天候にも恵まれ、工事を順調に進めることができました。
既存の屋根材を撤去し、防水シート、新しい屋根材、天窓、煙突周辺を施工して、濃紺の三角屋根が完成しました。
【写真:完成後の住宅全景】

屋根全体がきれいになっただけでなく、天窓や煙突など、今後の雨漏りにつながる可能性がある部分も同時に見直しています。
急勾配の三角屋根は工事費が高くなることがあります
屋根工事の金額は、屋根面積だけでは決まりません。
今回のような急勾配の三角屋根では、通常の屋根よりも安全設備や作業手間が増える場合があります。
屋根工事費に影響する主な条件は次のとおりです。
- 屋根の面積
- 屋根の勾配
- 建物の高さ
- 足場の設置条件
- 既存屋根材の種類
- 屋根材の撤去・処分量
- 下地補修の有無
- 使用する屋根材
- 棟や谷など屋根形状の複雑さ
- 天窓や煙突の有無
- 雪止め金具の有無
- 資材搬入経路
- 隣地との距離
- アンテナや太陽光パネルの有無
「屋根一式」という見積もりだけでは、何が含まれているか分かりません。
足場、撤去、処分、防水シート、屋根材、役物、天窓、煙突、雪止めなど、項目ごとに確認してください。
屋根業者を選ぶときの7つの確認ポイント
1.塗装ありきで話を進めていないか
屋根材が塗装できる状態か、板金補修が必要か、葺き替えるべきかを確認せず、最初から塗装だけを勧める会社には注意が必要です。
反対に、塗装で維持できる屋根を、理由なく全面葺き替えにする必要もありません。
複数の方法を比較して説明してもらいましょう。
2.屋根材の下まで考えているか
屋根の表面がきれいになっても、防水シートや下地が傷んでいれば問題は残ります。
雨漏りや広範囲の腐食がある場合は、屋根材の下をどのように確認するのか質問してください。
3.サビや雨漏りの原因を説明できるか
サビや雨漏りが発生した箇所だけでなく、なぜその場所が傷んだのかを確認することが大切です。
天窓、煙突、棟、谷、軒先、外壁との取り合いなども調査対象になります。
4.見積書の内容が具体的か
見積書では、少なくとも次の内容を確認します。
- 足場
- 既存屋根材の処理
- サビ落としや下地処理
- 塗料または新しい屋根材
- 防水シート
- 棟・軒先などの役物
- 雪止め
- 天窓・煙突・アンテナの処理
- 廃材処分
- 下地補修
- 追加工事の扱い
同じ金額でも、含まれている工事範囲が違えば単純には比較できません。
5.急勾配屋根の安全対策を説明できるか
急な三角屋根は、通常の屋根以上に安全対策が必要です。
足場をどこまで設置するのか、屋根足場が必要か、資材の落下防止をどうするのかを確認してください。
安全対策を省略した安い見積もりには注意が必要です。
6.施工中の写真を残してくれるか
屋根の上は、お客様が直接確認しにくい場所です。
施工前、下地処理後、防水シート施工後、屋根材施工中、完成後の写真を残してもらいましょう。
特に葺き替え工事では、完成すると見えなくなる部分の写真が重要です。
7.追加工事の説明方法が決まっているか
屋根材を剥がしたあと、下地の腐食や雨水の跡が見つかることがあります。
追加工事が必要になった場合、
- 施工前に連絡があるか
- 写真で説明してもらえるか
- 金額を確認してから進めるか
- どの程度まで当初見積もりに含まれているか
を契約前に確認してください。
屋根の見積もりを取るときに質問したいこと
屋根業者へ相談するときは、次の質問をすると工事内容を比較しやすくなります。
- なぜ塗装で対応できるのですか
- なぜ葺き替えが必要なのですか
- カバー工法は検討できますか
- 屋根材の下地はどのように確認しますか
- サビや雨漏りの原因は何ですか
- 防水シートは交換しますか
- 雪止めは再利用しますか
- 天窓や煙突の工事は含まれていますか
- 足場はどこまで設置しますか
- 下地が腐っていた場合はいくら追加になりますか
- 工事中の写真はもらえますか
- 工事保証の対象と期間はどうなっていますか
質問に対して、専門用語だけで済ませず、写真や図を使って説明してくれる会社を選ぶことが大切です。
このような症状があれば屋根を点検してください
次のような症状がある場合は、屋根塗装や補修の時期を迎えている可能性があります。
- 屋根の色あせが目立つ
- 塗膜が剥がれている
- サビが広がっている
- 屋根材が浮いている
- 屋根の接合部分が開いている
- 雪止め金具の周辺が腐食している
- 軒先からサビ水が垂れている
- 天井や壁に雨染みがある
- 雪解け時期に雨漏りする
- 天窓周辺に染みがある
- 煙突にひび割れがある
- 強風のあとに金属音がする
ただし、ご自身で屋根に上ることは危険です。
地上や窓から確認できる範囲にとどめ、屋根の上は専門業者へ依頼してください。
訪問業者から「屋根が剥がれている」と言われたとき
突然訪問してきた業者から、
「近くで工事をしていたら屋根が剥がれているのが見えた」
「このままだと雨漏りする」
「今日契約すれば安くできる」
と言われても、その場で屋根へ上げたり、契約したりする必要はありません。
まずは、以前から付き合いのある建設会社や、地元で施工実績を確認できる会社へ相談してください。
本当に緊急性があるのか、塗装でよいのか、補修や葺き替えが必要なのか、別の会社にも確認してもらうことが大切です。
よくあるご質問
屋根塗装と葺き替えは、どちらが安いですか?
一般的には、既存屋根を撤去しない塗装の方が工事範囲は小さくなります。
ただし、塗装できないほど屋根材が腐食している場合に塗装をしても、早期に再工事が必要になる可能性があります。
工事時点の金額だけでなく、今後何年使用したいかも含めて判断する必要があります。
屋根塗装は塗装会社に頼むべきですか?
塗装だけで対応できる屋根であれば、屋根塗装の実績がある塗装会社へ相談する方法があります。
ただし、金属屋根の補修、下地交換、天窓、煙突などの工事が必要な場合は、それらに対応できるか確認してください。
会社の名称ではなく、必要な工事を適切に行えるかで判断しましょう。
屋根の写真だけで見積もりできますか?
写真から、おおまかな状態や現地調査の必要性を判断できる場合はあります。
しかし、屋根の勾配、面積、サビの深さ、接合部、防水シート、下地の状態まで写真だけで判断することは困難です。
正式な工事内容と金額は、現地調査後に決める必要があります。
屋根の一部分だけ補修できますか?
傷みが限定され、周囲の屋根材や下地が健全であれば、部分補修できる場合があります。
ただし、屋根材の種類、施工方法、同じ材料が入手できるか、周囲との防水処理が可能かによって判断が変わります。
天窓は屋根葺き替えと同時に交換した方がよいですか?
天窓の年数や状態によって異なります。
屋根を葺き替えた直後に天窓だけ交換すると、再び屋根材や防水部分を工事する場合があります。
既存天窓の状態、交換部品の有無、今後も天窓を使用するかを確認し、屋根工事と一緒に検討することをおすすめします。
煙突を使っていなくても残せますか?
残すことは可能ですが、使用していない煙突が雨漏りや劣化の原因になる場合があります。
板金で保護する、上部を塞ぐ、煙突そのものを撤去するなど、建物の状態に合わせて検討します。
工事期間はどのくらいですか?
屋根面積、勾配、足場、天窓、煙突、下地補修、天候によって異なります。
札幌では雨や強風だけでなく、季節によっては積雪の影響もあるため、現地調査後に工期の目安をご説明します。
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まとめ
札幌で屋根塗装や屋根張り替えをどこに頼むか迷ったときは、会社の業種や見積金額だけで決めないことが大切です。
塗装、部分補修、カバー工法、葺き替えには、それぞれ適した状態があります。
屋根材の表面だけでなく、防水シート、下地、天窓、煙突、雪止めなども確認し、必要な工事を説明できる会社を選んでください。
今回の三角屋根では、既存の鉄板屋根を撤去し、防水シートと新しい屋根材を施工しました。
同時に天窓を交換し、ひび割れたレンガ煙突を板金で包み、風見鶏も再塗装して取り付けています。
屋根工事で重要なのは、見た目をきれいにすることだけではありません。
現在の屋根の状態を正しく確認し、これからも札幌の雪や雨から住宅を守れる工事を選ぶことが重要です。
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村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。
保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。

