昔の住宅では、「和室が一部屋ある」という間取りは珍しくありませんでした。
ところが最近では、和室を洋室へ変更したいというリフォームのご相談も増えています。
ベッドを置きたい。
掃除をしやすくしたい。
押入れをクローゼットにしたい。
リビングを広くしたい。
こうした理由から、畳をフローリングへ変更するのは合理的な選択です。
その一方で、最近の新築住宅の間取りを見ていると、少し興味深い変化があります。
昔ながらの6畳や8畳の独立した和室ではなく、
リビングの一角に3畳程度の畳を敷く
LDK横に4.5畳程度の畳スペースをつくる
といった間取りを見かけるようになりました。
「和室はいらない。でも畳の場所は欲しい」
今の住宅では、そんな考え方が増えているように感じます。
今回は、札幌市内で行った畳の表替え工事をご紹介しながら、あらためて畳や和室の良さについて考えてみます。
和室は減っても「畳のある暮らし」はなくなっていない
住宅の間取りは大きく変わりました。
以前であれば、リビングとは別に6畳程度の和室を設け、押入れや床の間をつくる間取りが一般的でした。
現在はその分をLDKや収納スペースに使い、必要な分だけ畳を取り入れる考え方があります。
たとえば3畳程度でも、
- 子どもを遊ばせる
- 赤ちゃんを寝かせる
- 洗濯物をたたむ
- 少し横になる
- 本を読む
- 来客時に座ってもらう
といった使い方ができます。
椅子に座る場所とは違い、「座る」「寝転ぶ」「足を伸ばす」という使い方ができるのが畳の特徴です。
独立した和室でなくても、リビングの一角に畳が数枚あるだけで暮らし方は変わります。
3畳・4.5畳くらいが今の住宅には使いやすい
昔のように「和室を一部屋つくる」と考えると、ある程度の床面積が必要になります。
しかし畳スペースなら、必ずしも6畳必要ではありません。
3畳程度
リビングの一角につくるには扱いやすい大きさです。
子どもの遊び場や昼寝、洗濯物をたたむ場所など、日常的なちょっとした用途に向いています。
4.5畳程度
もう少し用途が広がります。
布団を敷いたり、来客時に利用したり、引き戸を設ければリビングから少し独立した空間として使うこともできます。
小上がりにする方法もあります
リビングより少し床を高くして畳を敷く方法です。
腰掛けやすくなり、床下部分を収納として利用できる場合もあります。
ただし、小さなお子さまや高齢の方がいる住宅では段差が使いにくくなることもあります。
見た目だけで決めず、誰がどのように使うのかを考えることが大切です。

畳にはフローリングとは違う良さがあります
フローリングには掃除のしやすさや家具の置きやすさがあります。
一方、畳には畳ならではの良さがあります。
そのまま座ったり寝転んだりできる
畳の一番大きな特徴かもしれません。
ソファや椅子がなくても座ることができ、少し疲れたときにはそのまま横になることもできます。
日本人が昔から畳の上で暮らしてきた理由の一つでしょう。
適度な柔らかさがある
硬いフローリングと比べると、畳には適度なクッション性があります。
子どもの遊び場所として畳スペースを設ける住宅があるのも、このような特徴があるためです。
い草独特の香り
天然い草の新しい畳には、独特の香りがあります。
今回の施工でも、新しい畳を敷いた直後は部屋の空気そのものが変わったように感じました。
これは和紙畳などにはない、天然い草ならではの魅力です。
湿度を調整する性質
天然い草の畳には湿気を吸収・放出する性質があります。また、畳床の種類によっては調湿性や吸音性なども期待できます。
ただし、畳があるだけで結露や湿気の問題が解決するわけではありません。
特に札幌の住宅では、換気や断熱、暖房、室内湿度など住宅全体で考える必要があります。
「和室を洋室にする」のも間違いではありません
北嶺建設でも、和室を洋室へ変更するリフォームは行います。
畳をすべて残した方が良いということではありません。
生活スタイルによっては、洋室にした方が使いやすくなります。
たとえば、
- ベッドで生活するようになった
- 高齢になり床から立ち上がるのが大変になった
- 大きな家具を置きたい
- 掃除を楽にしたい
- 押入れをクローゼットに変更したい
- 隣のリビングとつなげたい
という場合には、フローリングへの変更が適しています。
大切なのは、
「古いから畳をなくす」
と最初から決めてしまわないことです。
全部洋室にする前に「畳を少し残す」という方法もあります
6畳の和室が必要なくなったからといって、6畳すべてをフローリングにする必要はありません。
例えば、
6畳の和室 → 3畳の畳スペース+収納
という考え方もできます。
また、
和室をリビングと一体化し、一部分だけ畳を残す
方法もあります。
完全な和室と完全な洋室の二択ではありません。
今の生活に合わせて畳の面積を減らすというリフォームも選択肢になります。
フローリングの上に置き畳を敷く方法もあります
「将来必要なくなるかもしれない」
という場合には、床を固定した畳スペースにせず、フローリングの上に置き畳を敷く方法もあります。
必要な時だけ畳を使い、不要になれば外すことができます。
大がかりな工事をせず、畳のある空間をつくれる方法です。
既存のリビングに「少しだけ畳が欲しい」という場合にも検討できます。
畳は「い草」だけではありません
現在は畳表にもいくつか種類があります。
天然い草
昔から使われている畳です。
い草独特の香りや触ったときの感触は、天然素材ならではです。
国産い草、中国産い草などがあり、品質や価格にも違いがあります。
和紙畳
機械すき和紙を加工して畳表にした製品もあります。
天然い草とは性質が異なり、色あせしにくいものや、多くの色柄から選べる製品があります。モダンなリビングとの組み合わせにも使いやすい畳です。
「畳=緑色」というイメージだけで考えなくてもよくなっています。
グレー、ベージュ、茶系などを選び、フローリングや建具の色と合わせることもできます。
縁のない畳ならリビングにも合わせやすい
最近の住宅でよく見かけるのが、正方形に近い縁なし畳です。
市松状に敷くことで、同じ色でも光の当たり方によって表情が変わります。
昔ながらの「和室」という印象を強く出さず、洋風のLDKにも合わせやすいデザインです。
昔の和室をそのまま再現するのではなく、
現代の住宅の中に、必要な分だけ和の要素を取り入れる。
そう考えると、畳の使い方はかなり広がります。
最近よく聞く「ジャパンディ」と畳の相性
最近、住宅やインテリアで「ジャパンディ(Japandi)」という言葉を見かけるようになりました。
ジャパンディとは、日本の住まいに見られるシンプルさや自然素材の使い方と、北欧のシンプルで機能的なインテリアを組み合わせたスタイルです。
名前だけを聞くと新しいもののように感じますが、木を生かした内装、落ち着いた色合い、余白のある空間など、日本の住宅にも以前からなじみのある要素が多くあります。
畳も、こうした空間に取り入れやすい素材の一つです。
昔ながらの6畳・8畳の和室をそのままつくるのではなく、
- リビングの一角に3畳ほどの畳スペースを設ける
- 縁のない畳を使う
- ベージュやグレー系の畳を選ぶ
- 木のフローリングや建具と組み合わせる
- 家具を低めにして空間をすっきり見せる
といった方法なら、洋風のLDKの中にも畳を自然に取り入れやすくなります。
畳だけでなく照明との組み合わせも
ジャパンディのような落ち着いた空間を考えるときは、畳や床、壁だけでなく照明も重要です。
例えば、和紙を使った照明や、木・竹・籐など自然素材を感じさせる照明は、畳や木目の内装とも合わせやすくなります。
ただし、「ジャパンディ風の照明器具を一つ付ければ、その部屋がジャパンディになる」というものではありません。
床や壁、建具、畳、家具、照明の色や素材を全体として考えた方が、落ち着いたまとまりのある空間になります。
畳も同じです。
「和室をつくるための床材」と考えるだけでなく、現代のリビングの中に自然素材や和の雰囲気を少し取り入れる素材として考えると、使い方はもっと広がるのではないでしょうか。
畳が古くなったら「表替え」「新調」を判断します
畳が傷んだからといって、必ず畳そのものを交換するわけではありません。
状態によって方法が異なります。
表替え
畳床と呼ばれる芯の部分はそのまま使用し、表面の畳表と縁を交換します。
現在の記事でご紹介している工事も、この表替えです。
畳床に大きな問題がなければ、表替えによって見た目を大きく変えることができます。
新調
畳床まで劣化している場合は、畳そのものを新しくします。
長年使用して畳が大きくへこんでいる場合や、畳床の傷みが進んでいる場合などは、新調を検討します。
裏返し
畳表の状態や使用年数によっては、現在使っている畳表を裏返して使える場合もあります。
ただし、すべての畳でできるわけではありませんので、現物を確認して判断します。
札幌市内で行った畳の表替え
今回ご紹介するお宅では、畳表の日焼けが進み、全体的に年数を感じる状態になっていました。

畳床の状態を確認し、今回は畳そのものを交換するのではなく、畳表を交換しました。

今回お願いした畳店では、朝に既存の畳を搬出。
畳店の作業場で古い畳表を外し、新しい畳表へ交換していきます。


そして夕方には新しい畳が戻ってきました。
※作業日数は畳の枚数、状態、畳店の作業状況などによって異なります。

畳を交換すると、家具も壁もそのままなのに、部屋全体の印象が大きく変わります。
今回も新しい畳表になったことで、和室が明るくすっきりした印象になりました。
畳を撤去するか迷ったら、先に「その場所を何に使うか」を考える
リフォームでは、
「畳が古くなったからフローリングにしたい」
という話から始まることがあります。
しかし、詳しくお話を聞いていくと、
「特に洋室として使いたいわけではない」
ということもあります。
その場合、表替えだけで十分かもしれません。
あるいは、
- 6畳を3畳に減らす
- リビングとつなげる
- 小上がりにする
- 押入れだけクローゼットにする
- 畳を和紙畳に変更する
- 置き畳にする
という方法も考えられます。
リフォームでは「畳かフローリングか」だけを決めるのではなく、その場所でこれから何をしたいのかを先に考えた方が失敗しにくくなります。
よくあるご質問
Q1. 畳が日焼けしています。表替えだけで大丈夫ですか?
畳床に大きな傷みがなければ、表替えで対応できる場合があります。実際の畳を確認して判断します。
Q2. 和室をフローリングにできますか?
可能です。ただ畳を撤去してフローリングを貼るだけでは床の高さが合わないことがあるため、下地を含めて調整します。
Q3. 6畳の和室を3畳くらいの畳スペースにできますか?
間取りや床の構造によりますが可能です。残りをフローリングや収納として利用する方法もあります。
Q4. い草と和紙畳ではどちらがいいですか?
天然い草の香りや質感を重視するならい草、色あせのしにくさや色柄の選択肢を重視するなら和紙畳など、それぞれ特徴があります。使用する場所や暮らし方に合わせて選びます。
Q5. 畳だけの工事でも相談できますか?
畳の表替えだけでなく、和室から洋室への変更、押入れからクローゼットへの変更、リビングと和室をつなげる工事なども含めてご相談いただけます。
札幌で畳・和室のリフォームをお考えの方へ
和室を洋室に変更する住宅が増えた一方で、畳そのものが必要なくなったわけではありません。
むしろ最近の住宅を見ると、昔のような大きな和室ではなく、3畳や4.5畳程度の畳スペースとして暮らしの中に取り入れる考え方があります。
畳には、座る、寝転ぶ、子どもを遊ばせる、洗濯物をたたむなど、フローリングとは違った使い方があります。
古くなった和室も、
全部残す。
全部洋室にする。
この二択だけではありません。
表替えしてそのまま使う。
畳を半分だけ残す。
LDKの畳コーナーに変える。
和紙畳や縁なし畳に変える。
フローリングにして置き畳を使う。
いろいろな方法があります。
北嶺建設では、畳の表替えだけでなく、和室から洋室への変更や、リビングと和室を一体化するリフォームなど、住まい全体を見ながらご相談をお受けしています。
「この和室を残した方がいいのか、洋室にした方がいいのか分からない」
という段階でも構いません。
これからその場所をどう使いたいのかを伺いながら、一緒に考えていきます。

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村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。
保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。


