「網戸を閉めても、端に隙間ができる」
「何度か調整しても、しばらくするとまた閉まらなくなる」
「窓を最後まで閉めても、鍵がうまくかからない」
「網戸だけ交換すれば直ると思っていた」
このような症状がある場合、原因は網戸そのものではなく、窓枠やサッシのゆがみにあるかもしれません。
網戸だけを交換しても、網戸が動くレールや窓枠がゆがんでいれば、新しい網戸も正常に閉まらない可能性があります。
今回は、札幌市内の賃貸住宅で「網戸が閉まらない」という相談を受けて調査したところ、窓枠のゆがみが見つかり、カバー工法で掃き出し窓を交換した事例をご紹介します。
窓や網戸の不具合を何度も調整している方、入居者様から窓の修理を求められているアパートオーナー様は、参考にしてください。
その「網戸が閉まらない」は、網戸だけの問題ではないかもしれません
網戸に隙間ができていると、多くの方は次のように考えます。
- 網戸が古くなった
- 網戸の戸車が壊れた
- 網戸のサイズが合っていない
- 網戸を新しくすれば直る
もちろん、網戸の戸車や外れ止めを調整したり、網戸自体を交換したりすることで直る場合もあります。
しかし、網戸を調整しても隙間がなくならない場合や、窓にも同じような不具合が出ている場合は、窓枠全体に問題がある可能性があります。
特に、次のような症状が複数出ている場合は、網戸だけを見て判断しない方がよいでしょう。
- 網戸の上か下に三角形の隙間ができる
- 網戸の左右どちらかだけが枠に当たる
- 網戸を閉めても勝手に少し戻る
- サッシの動きが重い
- 窓を最後まで閉めにくい
- 窓の鍵がかかりにくい
- 窓と枠の間に隙間が見える
- 窓や網戸がレールから外れやすい
- 調整しても、しばらくすると元に戻る
こうした状態では、網戸の戸車だけでなく、窓枠、レール、サッシ本体、建物側の開口部まで確認する必要があります。
網戸や窓が閉まらなくなる主な原因
窓や網戸が閉まらない原因は、一つではありません。
原因によって、部品調整で済む場合と、窓の交換が必要になる場合があります。
1.網戸やサッシの戸車がずれている
網戸や引き違い窓の下部には、レールの上を動かす戸車が付いています。
戸車の高さが左右でずれると、網戸や窓が傾き、枠との間に隙間ができることがあります。
戸車が摩耗していなければ、高さを調整することで改善できる可能性があります。
2.戸車や部品が壊れている
長年使用している窓では、戸車、外れ止め、鍵、気密材などが劣化します。
部品を交換できれば窓全体を取り替えずに直せる場合がありますが、古いサッシでは交換部品がすでに製造されていないこともあります。
3.レールにごみがたまっている
窓のレールに砂、ほこり、小石などがたまると、戸車が正常に動かなくなります。
まずはレールを清掃し、変形や破損がないか確認します。
ただし、力を入れて窓を何度も動かすと、戸車やレールを傷めることがあるため注意が必要です。
4.網戸やサッシ本体が変形している
網戸や窓のフレーム自体が曲がっていると、戸車を調整しても枠に合いません。
変形が軽ければ部品交換や調整で対応できることもありますが、変形の程度によっては網戸やサッシの交換が必要です。
5.窓枠がゆがんでいる
網戸やサッシには大きな問題がなくても、それを取り付けている窓枠がゆがんでいることがあります。
窓枠が正しい四角形ではなくなると、窓や網戸を閉めたときに、上側または下側に隙間が生じます。
この状態では、網戸だけを新しくしても、窓枠の形に合わないため、同じ不具合が残る可能性があります。
6.建物側の開口部が動いている
木造住宅やアパートでは、木材の乾燥、積雪、地盤、経年変化などの影響を受け、窓が取り付けられている開口部が動くことがあります。
窓枠の調整だけでは対応できないほど変形している場合は、窓を現在の開口部に合わせて交換する方法を検討します。
ただし、窓交換は建物全体の傾きや構造的な変形そのものを直す工事ではありません。
変形が大きい場合や、周囲にひび割れ、雨漏り、腐食などがある場合は、窓以外の調査も必要です。
「網戸だけ交換」では直らない場合があります
網戸に隙間がある場合、最初から窓全体を交換する必要はありません。
まずは、次の順番で原因を確認することが大切です。
- レールに異物がないか
- 網戸の戸車を調整できるか
- 網戸本体が変形していないか
- サッシにも開閉不良がないか
- 窓枠の縦・横・対角寸法にずれがないか
- 窓まわりに腐食や雨漏りがないか
戸車の調整や網戸の交換で直るのであれば、窓全体を交換する必要はありません。
一方、網戸を調整しても隙間が残り、窓にも開閉不良がある場合は、窓枠側に原因がある可能性が高くなります。
原因を確認しないまま網戸だけを交換すると、
「新しくしたのに隙間がなくならない」
「一度は閉まったが、また同じ状態になった」
という結果になることがあります。
今回のご相談は「網戸に隙間ができる」ことがきっかけでした
今回の現場は、札幌市内の賃貸住宅です。
入居者様から、
「網戸に隙間ができて、きちんと閉まらないので見てほしい」
という相談があり、管理会社様を通じて調査のご依頼をいただきました。
現地で網戸を確認したところ、網戸自体に大きな故障はありませんでした。
しかし、網戸を閉めても枠との間に隙間が残ります。
さらに窓全体を調べると、建物の経年変化によって既存の窓枠にゆがみが生じていることが分かりました。
網戸は窓枠に設けられたレールに沿って動くため、窓枠がゆがんでいれば、網戸だけを調整しても枠に合いません。
そこで今回は、網戸だけを交換するのではなく、既存の窓枠を利用して新しい窓を取り付ける「カバー工法」をご提案しました。元の施工事例では、幅1,565ミリ、高さ1,955ミリの居間の掃き出し窓を交換しています。
【施工前写真】

網戸を閉めても隙間が残っていました。調査したところ、網戸ではなく既存の窓枠にゆがみが生じていました。
調整で直せる場合と窓交換を検討する場合
窓や網戸が閉まらないからといって、すべてのケースで窓交換が必要になるわけではありません。
調整や部品交換で直る可能性がある状態
- 網戸だけが少し傾いている
- 戸車の高さにずれがある
- レールにごみが詰まっている
- 戸車や外れ止めを交換できる
- 窓枠そのものには大きなゆがみがない
- サッシの開閉や施錠には問題がない
このような場合は、清掃、戸車調整、部品交換、網戸交換などで改善できる可能性があります。
窓交換を検討する状態
- 網戸を何度調整しても隙間が残る
- 網戸と窓の両方が閉まりにくい
- 窓の上下で隙間の幅が違う
- サッシが枠に当たる
- 鍵の位置が合わない
- 窓枠の縦・横・対角寸法にずれがある
- 古くて交換部品を入手できない
- 窓枠やサッシが変形している
- 網戸だけを交換しても改善しなかった
こうした場合は、表面的な調整を繰り返すよりも、窓全体を交換した方が確実に改善できることがあります。
カバー工法とは
カバー工法とは、既存の窓枠を建物から取り外さず、その上から新しい窓枠を取り付ける方法です。
既存窓のガラスと障子部分を取り外し、残した枠を新しい枠で覆うように施工します。
国の先進的窓リノベ2026事業でも、既存窓枠の上から新しい窓枠を取り付ける工事が、外窓交換のカバー工法として定められています。
カバー工法の特徴
- 壁や外壁を大きく解体せずに施工できる
- 現在の開口部に合わせて新しい窓を設置できる
- 窓や網戸の開閉不良をまとめて改善できる
- 現地での取り付け作業を比較的短期間で行える
- 条件を満たす製品は補助対象になる可能性がある
窓だけでなく、新しい窓に対応した網戸も一緒に納めるため、窓枠のゆがみによって生じていた開閉不良や隙間を改善できます。
カバー工法にも注意点があります
カバー工法は便利な工法ですが、どの窓にも適用できるわけではありません。
開口部分が少し狭くなる
既存の窓枠の内側に新しい枠を取り付けるため、以前よりガラス部分や窓の開口寸法が少し小さくなります。
掃き出し窓では、下枠部分に多少の段差ができることもあります。
施工前に、交換後の開口寸法や段差を確認します。
腐食や雨漏りがある場合は別の工事が必要
既存の窓枠周辺に雨漏りや木材の腐食がある場合は、傷んだ下地を残したまま新しい窓を取り付けるべきではありません。
窓まわりを一部解体して、下地から補修する必要があります。
建物全体の変形を直す工事ではない
カバー工法は、現在の窓開口部に新しい窓を納める工事です。
建物全体の傾きや構造部分の変形を修正する工事ではありません。
窓枠のゆがみが大きい場合は、カバー工法で施工できるかどうかを現地で判断します。
カバー工法で掃き出し窓を交換
今回交換した窓の概要は、次のとおりです。
- 施工場所:札幌市内の賃貸住宅
- 対象箇所:居間の掃き出し窓
- 既存窓寸法:幅約1,565ミリ×高さ約1,955ミリ
- 主な症状:網戸が閉まらず隙間ができる
- 原因:既存窓枠のゆがみ
- 工法:外窓交換・カバー工法
- 現地での取り付け:1日
既存の障子部分を取り外した後、現在の窓枠の状態に合わせて新しい枠を取り付けました。
施工後は窓と網戸を開閉し、次の点を確認しました。
- 窓が最後まで閉まるか
- 網戸と枠の間に隙間がないか
- 鍵が正常にかかるか
- 窓や網戸がスムーズに動くか
- 枠やレールに異常がないか
交換前は網戸を閉めても隙間が残っていましたが、施工後は窓と網戸がスムーズに動き、隙間なく閉まるようになりました。
【施工後写真】

既存枠を利用して新しい掃き出し窓を設置。窓と網戸の開閉を確認し、隙間なく閉まる状態に改善しました。
現地での取り付けは1日でも、窓の製作には期間が必要です
カバー工法による窓の取り付け作業は、1か所であれば1日程度で完了する場合があります。
ただし、新しい窓は現地で採寸した寸法に合わせて製作します。
そのため、調査した直後に交換できるわけではありません。
今回の工事も、次の流れで進めました。
- 現地調査
- 窓枠のゆがみと開閉状態を確認
- 窓の寸法を採寸
- 工法と製品を決定
- メーカーへ窓を発注
- 製品完成後に取り付け
- 窓・網戸・鍵の動作確認
製品の種類やメーカーの受注状況によって、製作期間は異なります。
窓や網戸が閉まらず生活に支障が出ている場合は、壊れてからではなく、早めに調査を依頼することをおすすめします。
アパートオーナー様は入居者からの申告内容をご確認ください
アパートや賃貸住宅では、入居者様から次のような連絡を受けることがあります。
- 網戸が閉まらない
- 網戸から虫が入ってくる
- 窓が重くて開けられない
- 窓を閉めても鍵がかからない
- 強く押さないと窓が閉まらない
- 網戸がレールから外れる
- 以前にも修理したが、また同じ症状が出た
この場合、電話や写真だけで「網戸交換」と決めない方がよいでしょう。
網戸だけに問題があるのか、窓にも不具合があるのか、窓枠がゆがんでいるのかによって、必要な工事が変わります。
特に、同じ部屋で何度も網戸の調整や交換を行っている場合は、窓枠を含めた調査が必要です。
北嶺建設では、オーナー様、管理会社様、入居者様と日程を調整し、入居中の賃貸住宅についても現地確認を行います。
窓のカバー工法は補助対象になる可能性があります
先進的窓リノベ2026事業では、一定の性能を満たす登録製品を使用した外窓交換のカバー工法が補助対象です。
戸建て住宅の所有者だけでなく、住宅を所有して賃貸している個人または法人も対象者に含まれます。申請手続きは、事務局に登録された窓リノベ事業者が行います。
今回と同程度の面積に当たる大サイズの窓では、戸建て住宅または3階建て以下の低層集合住宅に性能区分Aの対象製品を使用した場合、2026年度の補助額は1窓当たり8万8,000円です。実際の補助額は、建物区分、窓の面積、製品性能によって決まります。
ただし、補助金を利用するためだけに、まだ調整で直せる窓を交換する必要はありません。
まずは不具合の原因を調べ、窓交換が必要と判断された場合に、補助対象製品を検討します。
また、交付申請は遅くとも2026年12月31日までですが、予算上限に達した場合はその時点で終了します。
窓は受注製作となるため、補助金を利用した交換を検討する場合は、日程に余裕を持ってご相談ください。
窓や網戸を無理に閉め続けないでください
窓や網戸が閉まりにくいときに、強く押したり、勢いをつけて動かしたりすると、別の部分を壊す可能性があります。
特に、次の状態では使用を続けず、早めに点検を依頼してください。
- 窓がレールから外れそうになる
- ガラスの入った窓が大きく傾いている
- 鍵がかからず防犯上の問題がある
- 窓枠から異音がする
- 網戸が外側へ落下しそうになる
- ガラスやサッシにひび、割れ、変形がある
高い位置の窓や、外側へ落下する危険がある網戸を自分で取り外すのは避けてください。
よくある質問
網戸の戸車調整だけでも見てもらえますか?
対応できるかどうかを含め、まず症状を確認します。
網戸の戸車調整や部品交換で改善できる場合は、窓全体を交換する必要はありません。
ただし、窓枠のゆがみやサッシの変形が原因の場合は、調整だけでは改善できないことがあります。
網戸だけ新しく作り直せば直りますか?
窓枠やレールが正常であれば、網戸の作り直しで改善できる可能性があります。
窓枠がゆがんでいる場合は、新しい網戸を作っても枠との間に隙間が残ることがあります。
先に窓枠とサッシの状態を確認する必要があります。
窓が閉まりますが、鍵だけかかりません
鍵の位置調整や部品交換で直ることがあります。
一方、窓が傾いて鍵の位置が合わなくなっている場合は、戸車、サッシ、窓枠の確認が必要です。
防犯に関わるため、鍵がかからない状態を長期間放置しないでください。
古い窓でも修理できますか?
部品が残っており、窓枠やサッシ本体に大きな変形がなければ、修理できる場合があります。
メーカーや製品が分からない古い窓、交換部品が製造終了している窓、枠自体がゆがんでいる窓では、窓交換をご提案することがあります。
入居者が住んでいても交換できますか?
窓の周辺に作業スペースを確保できれば、入居中でも施工できる場合があります。
施工当日は窓周辺の家具やカーテンを移動していただき、オーナー様、管理会社様、入居者様と作業時間を調整します。
写真だけで修理か交換か判断できますか?
写真からおおよその状態を確認することはできますが、窓枠のゆがみや対角寸法、戸車、レールの状態までは判断できない場合があります。
最終的には現地で窓と網戸を動かし、枠の状態を測定して判断します。
札幌で窓や網戸が閉まらない場合は、窓枠まで調べます
「網戸に隙間があるから、網戸を交換すれば直る」
そう考えるのは自然ですが、実際には窓枠のゆがみやサッシの変形が原因になっていることがあります。
大切なのは、最初から交換を決めることではありません。
網戸の調整で直るのか、部品交換が必要なのか、窓枠に問題があるのかを順番に確認することです。
北嶺建設では、札幌市内および近郊の戸建て住宅、アパート、賃貸住宅について、窓や網戸の不具合を確認しています。
- 網戸を閉めても隙間ができる
- 網戸から虫が入ってくる
- 窓が最後まで閉まらない
- 鍵がかかりにくい
- サッシが重くて動かない
- 何度調整しても同じ不具合が出る
- 入居者から窓の修理を求められている
このような場合は、窓全体と隙間部分が分かる写真をLINEまたはメールでお送りください。
網戸だけの問題か、窓枠を含めた修理や交換が必要かを現地で確認します。
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村松 拓海(有限会社北嶺建設 工事部長)
札幌市清田区を拠点に、新築・リフォーム・解体・排水管洗浄・除排雪まで現場を統括。
保有資格:石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者 ほか。
「窓枠のゆがみをカバー工法で改善した事例」と同じように内窓・断熱リフォームでお困りの場合は、内窓・断熱リフォームのページもあわせてご確認ください。

