有名建築家のデザインは本当に優れているのか?—デザインと実用性のバランスを考える

担当者

昭和後期から現在までの日本の建築家といえば、丹下健三、黒川紀章、安藤忠雄、隈研吾などが有名ですね。建築に詳しくない方でも、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
そんな有名な建築家について、私なりにちょっと考えてみました。

1. はじめに

有名な建築家が手がける建物は、世界中で注目を集め、多くの人を魅了します。そのデザインは個性的で、美しく、まるで芸術作品のようなものも少なくありません。

しかし一方で、「実際に長く使う建物」として見たときに、本当に機能的で住みやすいのか、維持しやすいのか、といった視点が抜け落ちてしまうこともあります。特に、木材を多用した建築ではメンテナンスのしやすさや耐久性を考慮しないと、後々大きな問題につながる可能性があるのです。

今回は、有名建築家のデザインがなぜ支持されるのか、そしてデザインと実用性のバランスについて考えてみたいと思います。

2. なぜ有名建築家の建築は支持されるのか?

メディアでの露出が多い
建築雑誌やテレビ、SNSで取り上げられることが多く、「この建築家の作品だからすごい」と認識されやすい。

デザインの魅力が強い
建築は人の感性に訴える部分が大きく、「見た目が美しい」「個性的でかっこいい」と感じると、それだけで評価されやすい。

クライアントの期待値が高い
有名建築家に依頼することで、「この人に設計してもらった建物に住んでいる」という満足感を得られる。

しかし、見た目の美しさだけで本当に良い建築と言えるのでしょうか?

3. デザインと実用性のバランスを考える

例えば、隈研吾の建築は木材をふんだんに使うことで有名ですが、木は湿気や害虫、経年劣化の影響を受けやすい素材です。そのため、適切な処理やメンテナンスが不可欠になります。

  • 「木を使った建築」 → 伝統的な木造建築の技術を活かしたもの
  • 「木の新たな可能性を追求した建築」 → 斬新なデザインや技法を取り入れたもの

デザインの斬新さは魅力ですが、長く快適に使える建築を考えたとき、耐久性や維持管理のしやすさまでしっかり設計に組み込むことが重要です。

4. 大規模プロジェクトで意見が言いづらい理由

建築家のブランド力が強い
「この建築家のデザインだから変えてはいけない」という空気がある。

プロジェクトが巨大化すると意見が分かれる
設計と施工の分業が進み、施工現場の声が設計に届きにくくなる。

クライアントがデザインを優先しがち
「見た目のインパクト」を求めるクライアントが多く、実用性が後回しになることも。

結果として、施工者や管理者の意見が十分に反映されず、維持管理が難しい建築が生まれやすくなります。

クライアントの意識が建築の未来を左右する

建築家の設計がどれほど優れていても、最終的にその建物を建てるかどうかを決めるのはクライアントです。クライアントの意識が建築の品質や寿命を大きく左右するといっても過言ではありません。

  • 「とにかく見た目が良い建築が欲しい!」とデザインを最優先する。
  • メンテナンスのことを深く考えずに建設を進める。
  • 施工や維持管理のしやすさを十分に検討しない。

こうしたクライアントの姿勢が、結果的に**「美しいが維持が難しい建築」**を増やしてしまう原因となっています。

建築は完成した瞬間がゴールではなく、その後何十年も使い続けるものです。したがって、クライアントも建築の「見た目」だけでなく、「長く快適に使えるかどうか」を第一に考えることが求められます。

建築の未来をより良いものにするためには、クライアント自身が**「実用性」「耐久性」「メンテナンス性」**をしっかりと理解し、それを重視した建築を求める姿勢が欠かせません。

同じくらい、「長く快適に使えるかどうか」を考えることが大切です。

6. 長く使える建築にするために必要なこと

一般的な建築においても、耐久性やメンテナンスは重要です。設計や施工の段階でこれらを意識することで、より長く快適に使える建築を実現できます。

耐久性のある素材選びと適切な処理
→ 木材なら防腐・防虫対策をしっかり行う。鉄やコンクリートなら防錆・防水処理を適切に施す。

メンテナンスを考えた設計
→ 交換しやすい構造にする、適切な防水処理を行う、設備のアクセスを容易にする。

設備・機能面の更新を見越した設計
→ 例えば、エアコンや給湯設備の交換がしやすいスペースを確保する。

外装・内装の維持管理のしやすさを考える
→ 汚れがつきにくい素材や、掃除しやすい設計を取り入れる。

施工現場の声を活かす
→ 設計と施工の連携を強化し、実用的な建築を目指す。

クライアントも実用性を重視する
→ 「このデザインで本当に住みやすいのか?」と考える。

7. まとめ

有名建築家の建築はデザイン性が高く、話題にもなりやすいですが、長く使うことを考えると、デザインだけでなく実用性も重視することが大切です。

施工する立場としては、デザインと実用性のバランスが取れた建築こそ、本当に価値があるものだと考えています。

これからの建築は、「見た目の美しさ」だけでなく、「長く快適に使える設計」が求められる時代。

建築に関わるすべての人が、そうした視点を持つことが大切ではないでしょうか?

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